上画像は、山と渓谷社のガイドブック、泉州山岳会編『近畿の山ー登山地図帳ー』(定価150円)。
右が1957年版で、左が1960年版。表紙はともに杉田忠一「六甲山」ですが、
裏表紙の広告が、1957年版(左)は山と渓谷社編「サイクリング教室」であるのに対し、1960年版(右)は『登山技術と用具』であるという点に違いがあります。
私が古いガイドブックを探している理由は、歴史を感じるから。
たとえば、1960年版で「御在所山」を見ると、
最近温泉から頂上近く迄世界一というロープウエイが開通し、観光客を呼んでいる。山上駅近くにユースホステルも完成した。
という記述があるのですが、御在所ロープウェイは1959年4月の営業開始で、ユースホステルは同年8月の開設(1991年1月に閉鎖)*。
あるいは「青山高原」に。
最近は笠取山附近に米軍のレーダー基地が設けられ、高原気分が失はれがちになったのは残念である。
と書かれているのですが、米軍のレーダー基地開設は1955年7月(1958年米軍より移管され、米軍は撤退**)。
当時の経済・世界情勢は、近畿の山にも変化を及ぼしていたということになるでしょうか。
ところで、上画像は泉州山岳会編『続・近畿の山 アルパイン・ガイド 2』(山と渓谷社、1959年)。
『近畿の山』の「序」で、泉州山岳会々長の仲西政一郎さんが
できれば山渓さんにむりを言って、本書に漏れた惜しい地域、たとえば老の坂連峰や丹波の山地・あるいは湖南アルプスや、愛知川・雪彦・小豆島の親指岳といったところを集めて、「続近畿の山」をと念じている私たちである。
と書いているのですが、その念が山渓さんに通じたのかもしれません。
表紙画は石川正夫「鈴鹿・鎌ガ岳」で、
裏表紙は当時の「アルパイン・ガイド」と「登山地図帳」のラインアップ。
当時は定価150円だったようです。
*御在所ロープウエイのウェブページ「会社案内」による
**航空自衛隊のウェブページ「笠取山分屯基地概要」による



