本ブログにたびたび登場している親友のTONARIX
なぜ僕が彼のことを、恥ずかしげもなく親友と呼べるのかを本日は少しばかり紹介したいと思う。




彼と僕のことを語るには、僕らの共通語であり、文太ファンの共通語である広島弁で記すのがもっともよい方法だと思うので、今回はオール広島弁で書きたい。
僕たちの広島弁は県東部(尾道)の訛りが強いので、皆さんの知っている広島弁とは少々違うかもしれないが、そこはご了承いただきたい。




ワシとTONARIX(以下、tona)の出会いは栗原北小学校の三年のときに同じクラスに編成されて知り合ったんが最初じゃ。
それから足掛け二十数年の付き合いを続けとるわけじゃけど、tonaとのファーストコンタクトを、ワシはぜんぜん覚えとらん。
じゃが、思い出したところで銭にもならん話になるだけじゃけえ、まあそりゃええとしよう。




それからなんじゃかんじゃあって、ワシらはホンマ仲ようなった。
なんで仲ようなったんかも、覚えてないけど、とにかく仲ようなった。
ガキの云ようる事じゃけえ、たいしたレベルじゃないけど、二人で好きな女子を云いあいっこもした仲じゃ。




tonaは『ワシャのう、津山のことが好きじゃいや!』って云うとった。
ちなみに津山はハコフグみたいな顔で、正直なところ中の下くらい、いや下の上くらいじゃったわ。
バラしてしもうたけど、ワシとtonaの秘密の共有はこの頃からあった。




当時、ワシらの国語の教科書には、仲のええカエルの物語が載っとった。
このカエルらは、仲がええのに些細なことで喧嘩してしもうてから、仲違いして音信不通になった。
しばらくして一方のカエルが病気になってしもうた。
そのカエルが苦しんどることを、もう一方のカエルが噂で聞いた。
すると『そりゃあ、いけん。大変じゃ』云うて、そいつは仲違いをしたのも忘れてお見舞いに行った。
結果二匹は仲直りして、メデタシメデタシとなった。




この物語の最後の授業にワシらが西川ブーって呼んどった西川先生が総括をしたんじゃ。

『この話は【親友】について書かれとるんじゃけど、みんなの親友は誰かな?』




こう云うて、西川ブーはワシら生徒一人一人に誰が【親友】なのかを実名で挙げさせたんじゃ。
今考えると、友達の少ない生徒もおったわけじゃし、西川ブーもえらい酷な質問しよったのうと思う。
じゃけど、そんなこと云う早熟な子供なんかおりゃあせんけえ、皆思い思いに仲良うしとる友達の名前を挙げていった。




【親友】云うて誰じゃろうのうと、ワシもいろいろ考えた。
考えに考えたがどう否定してもtonaしか頭に浮かばんかった。




ただしワシがtonaのことを親友とするのはええが、tonaがワシを選ばんかった場合は、どうしょう?
こりゃあ問題じゃいや。
そりゃもう悲しいけえのう。
選ばれんかったら、ワシがtonaのことを親友と思うとることが、tona本人によって完全否定されるいうことじゃろう。




つまりこれは失恋みたいなもんじゃろう。
小三で失恋の経験はないが、失恋の予感いうもんがワシにはあったんじゃいや。

そんなんを頭の中で、いやんいやんしとったらtanaの番になった。




『ほんじゃあ、tona君の親友を教えてもらおうかいねえ』




西川ブーは、ワシの失恋の予感なんか、察してもない様子じゃった。
そのあたり生徒の気持ちを配慮して授業せんか、ワリャ西川!云うて、今ならその教育方針に反論もできるけど、その頃のワシはチンチンも朝顔のつぼみみたいじゃったし、気持ちもつぼみのままじゃったけえ、何にも云えるはずもなく黙っとるしか出来んかった。




そりゃあもう待っとるあいだはドキドキソワソワじゃ。
好きと云われるか、違う人のことが好きと云われるか、二つに一つじゃけえ。
可愛いあの娘が、キザで嫌な感じのする男のことを好きと云うたら・・・みたいな。
ほんまじゃいや、わしゃあほんまにこんな感覚じゃったんじゃいや。




tonaがしゅたっと起立した。
『ああああああ、○#$%&▲&■?_*+♪いやいやぶるんぶるんぺっぺけぺ』
ワシはの頭はパニックじゃいや。
もうどうすることもできん。
カエラはメールし放題、ワシの金玉も収縮し放題じゃ。




『ワシの親友は、ねえ・・・』




tonaが口を開いた。
もう一度、『ああああああ、○#$%&▲&■?_*+♪いやいやぶるんぶるんぺっぺけぺ』じゃいや。




『ワシの親友は、●●●君です!』 (●●●は僕の本名)




ワシはそん時ロッキーのテーマを聴いたんじゃ。
小三じゃけどホンマに。




『俺はお前のことがずっと好きだったんだ』
『私も君のことずっと好きだったよ』
チュッチュチューみたいな青春ドラマが、ワシのなかで起こったんじゃいや。
脳がホルモンゆうホルモンを全部出したような感覚じゃった。
カエラはメールし放題、ワシの金玉は弛緩し放題じゃ。




するとtonaはくるりとワシのほうを振り向いたんじゃ。
眼が合った。
でも二人ともすぐに逸らした。




tonaの眼は少し潤んどった、頬には赤味がさしとった。
もちろんワシの顔も紅潮しとったはずじゃ。




ワシらは嬉しさと恥ずかしさの交錯を処理できんかったんじゃと思う。
大の大人でも、好きな人に『好きだ』と告白されたら、上手く処理できんじゃろう。
ましてや小三の二人じゃ、どぎまぎして当たり前。




でもワシ、自分の番が来たときに大きい声で、こう云うたで。




『ワシの親友は、TONARIXです!』と。




まあ大声は精一杯の虚勢じゃったけどね。




女の人にはわからん感覚じゃろうと思うけど、男には恋愛にちかい友情ゆうもんがある。
仲の良い友達が他の誰かと仲良うしとったら、態度には出さないものの嫉妬を感じてしまうような友情じゃ。
でもそいじゃけえいうて、ワシとtonaの二人は男同士じゃ、手をつなだり、見つめあって二人の世界を作ることもなかった。
いつもどおりデっかいウンコを見つけては笑っとっただけ。




でもそこには確かに【親友】と呼んでもよいものがやっぱりあったんじゃ。
だからワシは今でもtonaのことを親友と云う。
途中あまり遊ばんなった時期もあったけど、『僕らは親友同士だね』と確認しあったのは、ワシにとってはこれが最初で最後じゃった。




ワシが生まれて初めて経験した限りなく恋愛に近い愛の告白はこれゆうことじゃったんです。
その時のtonaの恥ずかしそうな顔をワシは今でも忘れられんのんですわ。




でもtonaはこのことを全然覚えてないらしいんじゃと。
それはそれでええんじゃけど。




だってワシらは親友じゃけえのう。