[深雪荘日記]
●巻頭連載[第144回]
「我らの時代の墓碑銘を描く画家――その淫蕩する光線」
「レコード・ジャケット」
佐藤ブライアン勝彦●作品&文
●作品掲載中の『フリーダム・ディクショナリー』は、こちらで購入できます。
金曜日の「パイレーツ・ラジオ」聞いてくれたかな?
Xでリスナーの皆んなと会話しながらの1時間。
絵と音楽について良く考える事がある。
音楽は沢山ジャンルがあって、誰しもが楽しんだり、涙したり、
昔は、そこに、レコード・ジャケットがあった。
部屋に飾ってみたり、手にとって眺めたりと、
それが今じゃ、パソコンの画面に小さくしかでてこないし、
今、アガベ展を由布院で開催中なので、
来月は都内で開催される面白そうな企画展に参加します。
今週から、そちらの作品に取り掛かろう!
間に合うかな〜…。
[今週のブライアンのおススメ・アーティスト/ガブリエル・ オロスコ 1962〜]
●いわゆるコンセプチュアル・アーティストで、写真、ドローイング、立体作品、
●初めて知ったのは、昔、ヨーロッパへ行った時に、
●上3点ともガブリエルの作品。
9月9日(月)鬼子母神は曇り。
午前11時、珈琲専門店キアズマにて、元同僚の樋口(作家の樋口毅宏)と岡崎(元『裏ブブカ』編集長、現『実話BUNKAタブー』編集)と会って話した。
岡の会社(書籍出版社)から樋口ちゃんの本を出すそうで、その取材の一環として私も昔話を語ることになったのだ。
とはいえ、齢は違えど(樋口・岡崎は私より7つ下と9つ下)、90年代半ばから10年ほどの、でたらめなコアマガジンの滅茶苦茶っぷりを体現してきた3人であるからにして、取材話よりも、当時の馬鹿エピソードで笑いあう時間のほうが長かった。
しかし、あの頃と決定的に違うことは、酒も呑まずに話し、酒を呑みに行かずに別れたことか。
とはいえ、久しぶりに元同僚と話せて嬉しい。
[夕食]
●カツオ刺しポン酢(生姜、大葉、ニンニク)
●残りの煮しめ(鶏手羽元、大根、人参)
●たくあん
●梅干し
●ごはん
●煎茶
今年の夏は、さんざん梅干しとポン酢の世話になったが、カツオの世話にもなったなあ。
もともと好物であるが、なにせ安かった。
今夜の夕食は、今夏の三種の神器の揃い踏みとなり、しみじみ味わいながら夏の終わりを感ずるのであった。
とはいえ、昼間に外へ出ると、まるで沖縄の11月の日差しであるが。
9月10日(火)鬼子母神は晴れ。
シギーとボスYと連絡を取りあい、午後2時、ボスYの事務所へノートパソコンを持って向かった。
とうとうPCが使えなくなり、この前シギーから持たせられた、もう1台のPCにワードをインストールしてもらいにいったのだ。
作業をボスYにまかせ(無論私にはできないが)、池袋駅前のクリニックへ男性ホルモン注射を受けに歩いた。
1時間後、事務所へ戻ってみると、無事インストールが終わっていた。
こないだの冷蔵庫の件も含め、お礼代わりに、奥さんと息子用にドーナッツの土産を手渡す。
シギーには……そういや、なんの礼もしたことないなあ。
ま、タメのダチだから勘弁してもらおう。
とても今生に返せる額の恩じゃないし。
(あ、ボスYの額も莫大なのだが)
[朝食兼昼食]
●バケット(バター、ピーナッツクリーム、苺ジャム)
●トマト&ブロッコリー&黒オリーブ&茹で卵サラダ(ポン酢、胡麻油、胡椒、タバスコ、マヨネーズ)
●三角チーズ2個
●チョコクリーム・アイス(ボスYに貰ったやつ)
●ミルクコーヒー
バケットは自分用にドーナッツ屋で買ったものだが、こう書き記してみると、つくづく糖尿病患者の献立じゃないなと反省する。
が、酒を呑むよりマシか、と、たちまち許すのであった。
それにしても、不思議な気分だ。
いや、ほぼまったくといっていいほど、私が酒を呑まないなんて。
10年前の「七曲り荘日記」なんて、205号室の四畳半から202号室のエアコン付き六畳間へ、大家さんの計らいで移った途端、連続飲酒に突入し、助けに現れたボスYから、
「曽根さん、地獄の臭いがするよ」
と言われる始末を書いているというのに。
[今週の曽根のお勧め作品/ニーナ・シモン『ニーナ・シモン・イン・コンサート』1964年]
●「不世出」という言葉が真実として冠される歌姫。マイルスをもうならせたピアノと、その歌っている姿は全盛期のモハメド・アリを思わせる。
●彼女は晩年、自らつくった公民権運動時代の過激な歌を否定した。なぜなら「みんな死んでいなくなったではないか」と。
(彼女はキング牧師やマルコムXとも友人だったし、ブラック・パンサーの運動に強く共鳴していた)
しかし、私はその時代の歌が好きだし、多くの後進のミュージシャンに影響を与えてきた。
●キング牧師に向かって、彼女は「非暴力なんて嫌だ」と言い放ち、彼は苦笑して「それは君の自由だ」と答えたそうな。
●私はガンジーの無抵抗主義もキング牧師の非暴力も肯定するが、一時期のマルコムXや、ブラック・パンサーの暴力主義も肯定する。ただし私自身は、イデオロギーや宗教を信じないから、それゆえの暴力には加担する気はない。
(人種差別に反抗するのはイデオロギーや宗教とは無関係である)
●しかし「人情」からの暴力は絶対的に肯定する。
先日、NMIXXの長女リリーが、ファンの少女との対面ビデオ通話で、虐められていることを訴えられると、まず、あなたはナンバー1だと言い切り、返す刀で「そんな奴は私が殺してやる」と言い放った。
●ニーナにしろリリーにしろ、本物の歌姫の歌声の底には、濁流のような「この世界に対する怒り」が流れているものだ。だからこそ、彼女たちの歌声は強く、遠くまで響き、胸を押しつぶすように私を圧倒するのである。
9月13日(金)鬼子母神は晴れ。
午前8時、洗濯し、外へ干す。
昼前、連載詩を書きあげ、担当Tへ送る。
今回も硬くて、詩というより7行の「檄文」じみていて、送る際、
「勘弁してちょうだい」
と添えた。
が、その後、担当Tより電話があり、
「メッセージがあってよろしい」
とOKが出て、ホッとする。
9月14日(土)鬼子母神は晴れ。
は? と気づいたら、もう土曜日か。
今朝、半分目覚めたあたりで、夢のつづきから、こんなことに思い至った。
「おれって、処女短編集を出してから、1冊の作品集も出せてないんだなあ……は? もう20年が経ってるのか!」
何をいまさら。
気を取り直して、朝から料理を始める。
[朝食兼昼食]
●ナス入りボロネーゼ(バジルソースと粉チーズとタバスコを振って)
●レトルトのコンソメスープ
●冷たいミルクティー
昨日、わざわざ「肉のハナマサ」まで足をのばして、ハンバーク用とされる粗挽き豚肉を買ってきてよかった。
かなりの粗挽きなんで、やはりボロネーゼにぴったりだった。
旨い。満足する。
たっぷりつくったから、あと3、4回楽しめるだろう。
[NMIXXつれづれ草]
●今回のカムバックの衣装はこのように、黒か白で統一した、スポーティーなものだった。スポーティーなかっこは、若者のトレンドらしいね。
●先週末で今回のカムバック期(約1か月)のテレビ・プロモーションが終了。シングル6曲目の「별별별(ビョル・ビョル・ビョル) See that?」は、韓国メロン・チャートで、ここんとこ40位前後(最高位26位?)をうろちょろしていたが、今日現在(18日午前6時)30位。ここまで踏ん張っているのと、YouTubeショートで同曲が現在3400万回再生でトレンド1位なとこを見ると、まだまだ先が見込めるかもしれない。
●なんにせよ、スマッシュ・ヒットしたシングル3曲目の「Love Me Like This」を、いろいろなチャート上では超えたとされる。また、なぜか、シングルBサイドの「Love Is Lonely」が現在、チェコのiTunesトップソングチャートで19位にランクインしたとのこと。
●デビュー前の写真。右上から時計回りに、へウォン(たぶん16歳)、ベイ(たぶん15歳)、キュジン(たぶん15歳)、リリー(たぶん16歳)、ソリュン(15歳、中学卒業写真)、ジウ(たぶん15歳)。
●2年半前のデビュー時のヴィジュアル。右上から時計回りに、へウォン(当時18歳)、ベイ(当時17歳)、キュジン(当時15歳)、リリー(当時19歳)、ソリュン(当時17歳)、ジウ(当時16歳)。
●現在のヴィジュアル。いちばん女が変わる時期であるとはいえ(ヘアメイクのせいもあるが)、芸能界でもまれると、たった2年半でこうまで変わるのかと、孫の成長にびっくりする爺さんの気持ちになる。いや、実際、私と彼女らでは祖父と孫の年齢差があるのだから当然か。金髪になったベイと、かなり痩せたジウの変わりようが凄い。
食後、ケイタイが鳴った。
「ほう、珍しいな、Xか」
Xとは古い女友だちである。
つまり、それそうとうの年齢だ。
淋しいから電話したという。
もちろん、べろべろに酔っていた。
まだ午後2時である。
「曽根さんは、独りで淋しくないの?」
「淋しくないよ。ほら、こうしてたまにダチが電話くれるし」
「そうなんだあ」
「まあ、お互い年なんだからさ、淋しいときは、こうして慰めあおうよ」
「そうだよね、慰めあうしかないよね!」
「もう教える年だよ」
淋しいことは恐いことじゃない。
淋しさは花筏(はないかだ)のように流れるばかり。
さあ、淋しさの川面を渡れ。首まで水に沈み。
それとも君は俎板の船に乗って――
「この魚はたっぷりのオリーブ油で煮ようよ」
淋しいことは恐いことじゃない。
もう教える年だよ、我が肉の少年少女に。
(2018・4・1/連載詩)
で、ようやく、彼女は淋しいわけを口にした。
朝にメールで、ボーイフレンドから「もう2人で会わないことにしよう」と、別れを告げられたという。
置き時計を見ると午後4時。
ここまで2時間がかかってる。
「そういうとこじゃないか? 別れの理由は」
そんな言葉は腹におさめて慰めた。
「失恋は毎度、新鮮なショックで慣れないよなあ――(以下モゴモゴ)」
その後、さすがに面倒くさくなり、30分ほどで切り上げた。
午後7時半、シャワーを浴びて出てみると、ケイタイにまたXから着信履歴があった。
かけなおそうかと思ったが、さすがにもう泥酔状態だろう。
「元気だなあ」
おやすみなさい。
失恋はいくつになっても慣れることはなく、毎度そのショックは新鮮だ。
でも、ショックを受けるには体力がいる。
そもそも、失恋するには惚れなきゃならない。
それこそ体力の問題だ。
私がここに失恋した一夜を書いたのは、確か11年は昔だろう。
惚れるとは「心たちまち」と書くが、たちまちになるには、それだけ精力がなけりゃな。
婆さん並みの男性ホルモン数値しかなくて、毎月テストステロン注射を受けている私など、たちまちから一番遅い存在だ。
とはいえ「老いらくの恋」という言葉もある。
『センセイの鞄』という川上弘美の小説も素晴らしい。
80歳のミック・ジャガーには7歳の息子がいるのだし。
「おれだって、まだまだ」
やれやれ、よい夢を。
[処女詩集販売中]
『火舌(かぜつ)詩集 Ⅰ ハードボイルド・ムーン』
著者:曽根 賢(PISSKEN)
ドローイング:佐藤ブライアン勝彦
判型A5/平綴じ/96ページ
部数:300部
税込み価格1320円
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2書店のサイトを検索してもらって注文してください。
ネット注文できない私のようなひとは、誰かに頼んで注文しましょう。
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「模索舎」
「阿佐ヶ谷ネオ書房」
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尚、くどいようだが、この処女詩集は、あくまで『火舌詩集』のⅠであって、今後あと2冊を発行します。
3冊合わせて『火舌詩集』となるので、ぜひコンプリートしましょう。
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●A面「PISS(INTO)MY HEROES」
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●セカンドシングルのジャケット。被写体は細菌学者の志賀潔。撮影は土門拳。
●アドレス:budroll.shelvis.sy3@gmail.com
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『キャンプ日和』(河出書房新社)
キャンプ小説&エッセイのアンソロジー。トリに曽根 賢の短編「二つの心臓を持つ川の縁で」が掲載されています。
『点線面』5号(ポンプラボ)
曽根 賢の特集と、論評風の新作エッセイが載ってます。詳しいことはネットで検索してください。