昨夜酔っ払ってアップ寸前に消してしまったブログには何が書かれていたのだろう? | 曽根賢(Pissken)のBurst&Ballsコラム

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元『BURST』、『BURST HIGH』編集長の曽根賢(Pissken)のコラム

[日記]
昨夜、K文社でリライト仕事をして、事務所に戻ったのが確か20時くらいか。その時点で、もうK文社~電車の中でウイスキーの小瓶を呑んでおり、すこし酔っ払っていた。
それから本格的に50度のウイスキーを飲みながら、ぽつぽつブログを書いていた。

22時に、友人のカメラマン、シギー吉田が、自分名義・自分の金で、私の新しい携帯電話を手に入れ、わざわざ車で届けに来てくれた。
シギーは酒を呑まない。事務所でだべっているいるうちに、ひとり酔っ払った私は「カラオケに行こう」とシギーを誘った。シギーもなぜか快諾。
出る際に書いたばかりのブログをうっかり消した。シギーが叫んだが、私は別に気にせず、シギーの運転する車で四谷駅近くまで行き、新宿通りに車を路駐した(シギーは身障者用の路駐ライセンスを持っている)。
それから朝の4時まで絶叫する。
(カラオケに行ったのは2年半ぶり。男と2人でカラオケボックスに入ったことは数度あるが、それは御禁制のものを吸引すためなので……いや、2年半前の石神井でのカラオケは、ガンジャを吸ってから、男2人で歌ったのだった。相手は東京の悪い業界の有名若頭。ネタは当然六本木モノ)

帰ってきて、またひとりウイスキーを呑む。前日から2時間しか眠っていないのに……。
けっきょく眠ったのが朝8時。午後1時半に起きる。
二日酔いどころか、疲れから熱を出すも、約束通り、事務所の若い衆4人に、カツオのたたきと、味噌汁、温泉卵、キムチ、炊きたてご飯の昼食をつくる(みんな前日の朝には用意していた)。
もちろん私は食欲なく、今だ何も食べていない。
それから残りのリライト仕事を始め、さっき22時に終了。
そしてまた、ウイスキーを呑みながら、これを書いている。
若い衆はボスTをのぞき、まだ仕事をしている。

今の私にとって、酒に酔うことは、気持ちとからだの繋がりを、断絶させるため(そんなことは無理だが)、せめて鈍くさせることだ。現状の錯乱した気持ちが、からだと直結すると、からだに致命傷を与えかねない。

私は気持ちが、からだにすぐ出やすい体質だ。

カエル殺しに熱中していた小学2年生の夏の朝、東京ドーム20個分のひろい田んぼのど真ん中で、麦わら帽子をかぶった顔の見えない「カエルの神様」に「いきものを殺してはいけない」と諭され、家に逃げ帰った私は、それから三日三晩高熱を発し、点滴を初めて経験する。

中学2年生と高校2年生のとき、神経性胃炎で2度入院。

まだオナニーを覚えてなかった中学1年生の秋に初めてエロ本(洋ピン雑誌の『バチェラー』。野球部の部室の裏に棄てられていた大量のエロ本の中から、先輩が私へ選んでくれたもの。30代半ばに、その編集長のインタビューをしたときは感慨無量だった)を眼にしたとき、突然からだがガクガクと激しく震えだし(それはページを閉じてからも30分ちかく続いた)、気が狂ったかと怯えた。

高校1年生の夏休み明けの、1時限目の数学の授業中、やはり突然からだがガクガクと震えだし、両手でからだを強く抱いても治まらず、みんなにばれるのがこわくて教室から飛び出す。

小学生のころから、試験のたびに知恵熱をだしては、保健室送り。

小学生のころから、作業に熱中するたび鼻血をだす(今も)。

高校生のころから、作業に熱中すると、幻覚が見える(アシッドを食っても、曲がるだけで、幻覚は見たことがない)。

シラフで何かを考えているときこそ、みんなから「何か喰っているだろう」と心配される。特に30代のころがひどく、インタビュー相手(みんなドラッグに関しては上級者)から陰で「あいつはコカイン中毒だろう」「エル喰ってインタビューするなよな」「ひどいシャブ中だね」と、気苦労させる。

散歩してるとき、ばったり会った友人たちは皆、血相変えて私へ駆け寄るなり「大丈夫か?」と、強く私の両肩を掴む。

40代になってからは、酒やドラッグに酔うと、古い友人たちは「安心したよ……さっきまでは、もう壊れちゃったのかと思ったよ」と、気まずい告白をさせる。

ガキのころから、気分が最悪に落ち込んでるか、最高に高揚してるときは、人殺しやキチガイが気安く寄ってくる。

惚れた女とは、3回目を超さないと、起たない。

惚れた女とは、5回目を超さないと、射精しない。

エロ本編集者時代(男優時代)は、5秒で起ち、自分の絵コンテ通り、シャッターに合わせ射精できた(これは気持ちとからだが直結した際の好例)。


しかし、精神と肉体との繋がりを鈍くさせるため、酒や他のドラッグを使用し続けるのは、当然最悪の結果へ突入する。
特に肉体が強い時期には、自分を殺すのはもちろん、他人を殺す(色んな意味で)。
友人の大半はそれで死んでしまったし、人殺しとも一緒に暮らしてきた私だ。
足の踏み込み方は心得ているちもりだが、それ以前にもう深く足を踏み込む体力は残っていない。若い頃の私は、ただほんのちょっと運が良かったし、親の血筋の体力があったし、本質的に臆病だったから、どうにか今にいたっているわけだ。

私は、自分の知覚を信じていない。ただし、自分の精神と肉体の直結した「この世界に対する自分ではどうしようもない表現」を体験的に信じている。

「精神はからだを裏切り、肉体は精神を裏切る」とは、千古の自明の理だが、
裏切り続ける表現を、猛獣を、飼いならす術に長けなきゃいけない。
どこまでも自分の生理を信じながら。

[小説『火舌』について]
明日から日曜日までに、一気に最終章まで書くだろう。書き上げたとき私の生理は「現状の対峙する世界」で、どう表現するだろう。路上で歌うかもしれないし、路上で5時間立ち尽くすかもしれないし、路上で片っ端から女へ求婚するやもしれん。8時間、夢も見ず眠れたら最高だけど。

[新企画写真雑誌『BALLS』について]
すべてそれは『火舌』が書きあがったときに、企画会議は終わるだろう。

[今日の詩]

『生理と時間の可能性』


転がり続ける石は
やがてナイフとなって
私の心臓を刺すだろう

  そのとき、君だけが駆け寄って
  私のからだを水にながしておくれ

  そして君の手で
  川べりの石の墓碑銘に
  ナイフで刻んでおくれ

われらの世代を看取る、世代の男がひとり
転がり続ける石のナイフとなりて
女の細い指を
情けをもって深く傷つけんと




もう午前1時半か。とっくに事務所の若い衆は帰った。明日はコインランドリーに行かなきゃ。
28年ぶりだ。
さて、ちゃんとこの文章をアップして、
コンビニへ酒を買いに行こう。
あなたも、たまには、ずっと眠らなくてもいいと思うよ。
でも、おやすみなさい。