どうも!ピロシキです!
今回は手始めにマウスABC遺伝学についてご紹介します。
遺伝学にうとい方は以下の記事をお読みください。
モルフの遺伝学を勉強する前に
https://ameblo.jp/piroshiki6363/entry-12613966550.html
【ABC遺伝学とは】
マウスの毛色の一部はA、B、Cの3つの遺伝子座で決まります。この3つの遺伝子座の遺伝子の組み合わせによって白(アルビノ)、黒、シナモン、チョコレート、アグーチ色の5色の毛色が発現するのです。まずはそれぞれの遺伝子座の遺伝子の働きについて見ていきましょう。
【C遺伝座】
結論からいえば、アルビノに関する遺伝座です。白の毛色はメラニン色素の有無が関わっています。一般にアルビノと呼ばれる個体は、メラニンを合成する酵素の機能が失われています。c遺伝子の機能が発現するとメラニンを合成するTyrosinaseの活性が失われ、アルビノが誕生します。一方でC遺伝子が発現する場合はTyrosinaseを問題なく合成できるため、毛色にバリエーションが生まれます。
C遺伝子とc遺伝子は対立遺伝子で、Cが優性、cが劣性です。c遺伝子が発現する場合、他のAやB遺伝子座にどんな遺伝子がこようとアルビノになります。
【B遺伝子座】
Tyrosinaseの合成量の決定する酵素に関与します。B遺伝子が発現した場合はeumelanin、b遺伝子が発現した場合はphaeomelaninが合成されます。B遺伝子が発現した場合、高いレベルのTyrosinaseが存在し、いくつかの過程を経てeumelaninを合成します。これによって毛色が茶色や黒色になります。b遺伝子が発現した場合、メラニン細胞中Tyroshinaseが低いレベルで存在し、eumelaninとは別の過程を経てphaeomelaninを形成します。これにより毛色が褐色や黄色になります。
B遺伝子とb遺伝子は対立遺伝子で、Bが優性、bが劣性です。
【A遺伝子座】
アグーチパターンに関与します。アグーチパターンというのは毛1本の場所によって色が変わるパターンです。以下の概念図を参考にしてください。根本と先は黒色、中間部はうすくなります。毛色のメラニンの分布パターンを決めるうえでアグーチタンパクの読み込みが重要になります。A遺伝子が発現した場合、このアグーチタンパクが正常に読み込まれ中間部でメラニンの合成が抑えられた結果、アグーチのパターンが生じます。一方でa遺伝子が発現した場合、アグーチタンパクの読み込みが成長になされないので、1本の毛がすべて同じ色になります。アグーチパターンにたいしてソリッドパターンなどと呼ばれます。
A遺伝子とa遺伝子は対立遺伝子で、Aが優性、aが劣性です。
【ABCの遺伝子座が組み合わさると】
以下のような概念図を用意しました。
優性形質が発現している場合は優性遺伝子のホモにしてありますが、ヘテロでも同様です。
とにかくC遺伝子が発現しなければアルビノです。B遺伝子が発現するとeumelaninが発現されて毛色の黒さが増します。A遺伝子が発現するとアグーチパターンとなりアグーチ色に、そしてa遺伝子が発現するとソリッドパターンになるので毛色が真っ黒になります。b遺伝子が発現し、ソリッドパターンならチョコレート。アグーチパターンならシナモンになります。ABC遺伝子座の遺伝子達の役割を理解すると、なんとなくその色になる理由がわかりますよね。
【お勉強はまだまだ続く】
ABC遺伝子の説明をしてきましたが、これを理解したとしても彼らの毛色の遺伝を理解したとは到底言えません。例えばブルー、シルバー、イエロー、アイボリーなどの色やタンやフォックス、パイドなどの色や模様のパターン、サテン、ロング、カーリー、テディなどの毛並みを決めるのに関わる遺伝子が存在します。そう考えるとまだまだ満足できませんよね!
さぁ!調べるぞ!