どうも!ピロシキです!

みなさん「モルフ」という言葉を聞いたことがありますか?

これはmorphologyの形態を意味する言葉です。

マウスを始めとした様々な動物の特徴をmorphとして表現します。

例えば毛色や毛並み、模様の特徴などです。

 

そのモルフがどのように発現するのかを理解するためには、

遺伝学を齧る必要があります。

今回は、そのための遺伝学の基礎をお勉強する記事です。

 

【遺伝情報とは?】

中学校の授業などで習ったことの復習です。

なかには言葉は知ってるし、何気なく使っているけど、

その定義を問われると迷ってしまう方もいるのではないでしょうか?

 

まずはその周辺の言葉の意味を概念図を使って理解していきます。

 

 

私達の細胞には核というものが存在します。この中には遺伝情報が収納されています。この全遺伝情報をゲノムといいます。正確なゲノムの定義は「全染色体を構成するDNAの塩基配列」です。ここでDNAと塩基配列という言葉がでてきました。これらを説明する前にまずそれらを収納している染色体について説明しましょう。

多くの生物の染色体は対をなして存在しています。これを相同染色体と言います。人間であれば23対の染色体が核の中に存在しています。この相同染色体の一方は父親から、もう一方は母親から引き継いでいるものです。

さて、その染色体ですが、拡大してみるともじゃもじゃとした糸状のもので構成されています。

さらにそれを拡大すると玉(ヒストン)にまた糸状のものが絡まっている構造がいくつもできています。この構造をクロマチンと呼びます。このクロマチンの構造をなす糸状のものこそがDNAなのです。

このDNAは2本の鎖(ヌクレオチド鎖)が螺旋構造をなしてつながっています(二重螺旋構造)。このつながりはアデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、グアニン(G)という塩基によるものです。この塩基配列パターンは人によって違います。つまりこれこそが生物の遺伝情報として重要なのです。

 

【遺伝子とは?】

遺伝子とは、「DNAのうち、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパク(組織や酵素を作るのに必要な物)の設計情報が記録された領域」のことです。

また概念図を使って理解していきます。

 

上の図は染色体の拡大図です。上記の説明どおり、染色体にはDNAが収納されているわけですが、領域ごとにその役割が決まっています。例えば黄色い四角で囲った部分はある色素の合成に関与する領域です。もう少し詳しくいうと合成に関わるタンパク質を作るのに必要な情報が記録された領域です。つまりこの領域ことが遺伝子となります。ここでは仮にA遺伝子としておきましょう。また、この領域の位置というものは、相同染色体上でしっかりと定められています。この位置を遺伝子座とします。A遺伝子が存在する領域を仮にA遺伝子座としましょう。

この位置は対になっているもう一方の染色体でも同じです。このとき、もう一方のA遺伝子座にはA遺伝子とは異なるa遺伝子が存在している場合があります。このa遺伝子を対立遺伝子と呼びます。この染色体の持ち主は、A遺伝子を持つ父とa遺伝子を持つ母(あるいは逆)から生まれてきたのでしょう。

 

【遺伝子の特性】

みなさん!かなり思い出してきたのではないでしょうか?

次は「メンデルの法則」について思い出していきましょう。

メンデルの法則は授業で主要な3つの法則を習いました。

 

①優性の法則

②分離の法則

③独立の法則

 

①優性の法則とは?

上記ではA遺伝子とa遺伝子を例にあげましたが、これらに優劣の関係がある場合があります。この2種類の遺伝子しか存在しない場合、A遺伝子座の相同染色体が持ち得る遺伝子の組み合わせは、AA,、Aa、aaの3通りです。このときA遺伝子がa遺伝子よりも優先される場合、AAだけでなく、AaにおいてもAの形質が発現します。一方のa遺伝子はaaのときにしか発現することができません。このような関係を優性の法則と呼びます。また、A遺伝子は優性遺伝子、a遺伝子は劣勢遺伝子と呼びます。ちなみにAAやaaのように同じ遺伝子の組み合わせをホモ接合体、Aaのような異なる遺伝子の組み合わせをヘテロ結合体と言います。略して、ホモ、ヘテロと呼ぶ場合が殆どです。

 

②分離の法則

この法則は子孫に遺伝子が受け継がれる時に相同染色体が1本の染色体に別れ、どちらかの遺伝子(A遺伝子or a遺伝子)しか受け継がれないという法則です。

 

③独立の法則

A遺伝子座にA遺伝子、b遺伝子だけでなく、別の染色体に存在するB遺伝子、b遺伝子があったとします。これらはお互いに影響し合うことなく、独立に子孫に遺伝します。これが独立の法則です。この法則は異なる染色体に存在する遺伝子にのみ適用できる法則です。

 

 

 

【優性の法則が成り立たない例】

さて、優性の法則が成り立たない例があります。

 

・不完全優性、共優性

例としては血液型やIncomplete dominance という花の色の遺伝が知られている。例えば、AA遺伝子は赤色の花、aa遺伝子は白色の花、そしてAa遺伝は優性遺伝子の色になるはずですが、Incomplete dominanceの場合はピンクになってしまいます。この例では赤色にする働きが制御されることによってピンク色になるそうです。これを不完全優性と呼びます。不完全優性と共優性は厳密には異なります。共優性は、ヘテロになったときに両方の遺伝子が発現するというものです。血液型のAB型がその例です。結果だけみると不完全優性と共優性は似通っているのですが、そのプロセスが異なるのです。

 

 

 

②多因子性遺伝

人間の身長や色の濃さなどの連続的な形質は多因子性遺伝が関与している場合があります。多因子性遺伝は上記までの例のようにある遺伝子座だけで決まる特徴ではなく、多くの遺伝子座の遺伝子によって決まる特徴です。そのため、優性、劣勢といった関係は存在しません。特徴として選抜交配をしていくことで、その特徴が強くなる傾向があります。例えば、色の赤味が強い個体同士を交配させていくとどんどん赤味が強くなるっていきます。

 

表を使って説明しましょう。表の見方ですが、これは2nの染色体を持つある生物の個体の例です。そしてその生物の赤い発色が多因子性遺伝で決まっているとしましょう。そして、それを決める遺伝子座が10存在し、それぞれが独立だと考えます。れぞれの遺伝子座には2種類の遺伝子のみが存在するとします。表の○は色素を合成しない遺伝子です。●は色素を合成する遺伝子とします。○と●の関係ですが、遺伝子座によって変わるかもしれませんし、ここでは●がを持つほど色が濃くなると考えましょう(不自然ですが多因子性遺伝を理解するうえでは支障ありません)。

 

上の表の個体はすべて○なので、赤色になる因子を全くもたないことになります。

こういった特徴を持つ個体同士をいくら掛け合わせても突然変異が起こらなければ、遺伝的に赤色を持つ個体は絶対に生まれてきません。

 

では次に以下の表で表された2個体について考えてみましょう。

  

左の個体は遺伝子座Ⅵ~Xにかけて●の遺伝子を持っています。右の個体はⅠ~Ⅴまで●です。2個体ともそこそこ赤味のある個体のようです。この2個体が交配するとどうなるか・・・

 

50%の確率で以下の個体が生まれてきます。

上記の表でわかるように両親よりも●が多い個体が生まれてきました。

さらに上記の個体どうしを交配させたらどうなるか・・・

1/1048576の確率で以下の赤味MAXな子が生まれてきます。

 

これが多因性遺伝の仕組みです。

ペットでより大きなサイズの個体を作りたい、より赤味の綺麗な個体を作りたい、模様が極端に薄い個体を作りたい!そんなブリーダーさん達が上記の仕組みを理解し、夢のような個体を誕生させています。ただ、これらの遺伝子に関わる染色体に疾患を発生させる遺伝子があると、その疾患も固定されてしまいます。この見極めが重要になるのでしょう。

 

長くなりましたが、これだけ理解すれば、

モルフに関する本やネット上の情報を理解することができると思います。

本記事の説明は誤解を恐れず、私なりの表現で説明をしました。

用語やその定義などを厳密に知りた方は参考書をしっかり読んでください。