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さて、お正月に観たDVDはクリント・イーストウッドの「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」。

「父親たちの星条旗」

 ウィスコンシン州で葬儀屋を営む年老いたジョン・“ドク”・ブラッドリー。
1945年、彼は海軍の衛生兵として硫黄島に赴き海兵隊と共に戦った。

その中で撮られた一枚の写真、激しい戦闘の末、硫黄島の山頂に星条旗を掲げた写真により彼はアメリカ中から“英雄”と称えられた。

しかし彼はその後、家族へ硫黄島について語ろうとはせず。
アメリカ中に知れ渡ったこの写真についても、何も語ろうとはしなかった。

硫黄島で何があったのか、彼の息子ジェイムズは硫黄島の真実について辿り始める・・・


「硫黄島からの手紙」 

1944年6月、戦局が悪化の一途を辿っていた太平洋戦争下の硫黄島に一人の将官が降り立つ。
新たに硫黄島守備隊指揮官に任命された陸軍中将、栗林忠道(渡辺謙)。

彼はかつて、駐在武官としてアメリカに滞在した経験があり、それ故に誰よりも米軍の強大な実力を知り尽くしていた。
勝ち目の無い戦いと知りつつ、日本本土防衛の為一日でも長く硫黄島を守る事に意味があると考えた彼は、反発する陸海軍の古参の側近や将校・士官達を押し切り、防衛計画を練り直す。

一方、今までの上官とは違い合理的な考えができる栗林の存在は、日々の生活に絶望していた西郷(二宮和也)らに新たな希望を抱かせる。

栗林は隷下の将兵に無意味な万歳突撃や自決を禁じ、硫黄島地下に坑道をめぐらせ要塞化し、死よりも苛酷な持久戦に持ち込むが・・・


ご存知、クリント・イーストウッドが手掛けた太平洋戦争をアメリカと日本の視点から描いた2部作。

「父親たちの星条旗」は戦勝国のアメリカで、「英雄」としてプロパガンダされた3人の男達の苦悩を。

「硫黄島からの手紙」は日本の“お国のため、愛する者のための「玉砕」”がいかに醜い行為だったか。


正月惚けで眠い頭に、鉛のようにずしんとした衝撃をもたらした2作品でした。
実話に基づいた作品であり、戦争シーンもリアルでした。
そのリアルな戦闘の映像が、余計に「反戦争」の思いを強めさせました。


「許されざる者」「ミスティック・リバー」「ミリオンダラー・ベイビー」と続き、両作品。
救われない人々、人生の不条理、人の尊厳と重たいテーマを扱ってきたC・イーストウッドが、この両作品で訴えたいことは?
おそらく、歴史に隠された事実を、また敵同士だった為知らなかった相手国の事実を、できるだけ史実に基づき淡々と描きたかった。それだけだったと思います。


またこの作品、ポール・ハギスが「父親たちの~」脚本、「硫黄島~」製作総指揮を手掛けている。

映画脚本としては初めての「ミリオンダラー・ベイビー」で同じくC・イーストウッドと組み、アカデミー賞にノミネートされ、作品賞を受賞。
翌年には自身が監督・脚本・製作した、あの「クラッシュ」で作品賞と脚本賞を受賞するなど、ほんとに素晴らしい脚本家ですよね。