最後の夏休み:新・Prep Roomの担当者になる | ピロの屋本館@ロサンゼルス

ピロの屋本館@ロサンゼルス

天使の女王の町Los Angelesでの生活記録

 

  2022年夏休み

 

見習いエンバーマーには、

スーパーバイザーエンバーマー

というのが必要。

つまり、監督者。

 

 

このスーパーバイザーに

なれる条件は以下。

 

星葬祭ディレクターの免許を

持っていること

星エンバーマーの免許を

持っていて2年経過していること

 

 

うちの職場では、

それがピナ1人だったんだけど、

彼女は決して

良いスーパーバイザー

ではなかった。

 

 

小さな葬儀社だったので、

従業員が6,7人だけで、

その中で両方の免許を

持っていたのが

彼女だけだったということもあり、

その”私だけは特別感”を持っていた。

 

 

しかし、先輩が入ってきて

見習エンバーマーになったことで、

ピナと先輩との間に

確執が生まれた。

 

 

ギバーであり

正義感の強い先輩は、

マネージャーのサンドに、

生徒がうちの職場で

インターンができるよう、

学校に連絡をしようと提案した。

 

 

もちろん先輩としては、

後輩である我々モーチュアリーの

生徒を助けるための提案だった。

 

 

地獄記事初期でも述べてますが、

基礎の葬祭クラスと死亡学で

それぞれ108時間の

インターンがあるけど、

生徒自らが、

インターンをする葬儀社を

探さないといけない。

 

 

先輩は20ヶ所連絡し全部断られ、

21ヶ所目に連絡したのが

その職場だった。

 

 

そういった自分の

辛い体験があったので、

少しでも後輩たちの役に立てれば

という思いからの提案だった。

 

 

サンドはそれに許可を出したんだけど、

彼の狙いは

先輩のような清いものではなく、

インターン生徒であれば

給料払わず使えるから、

といった考えだった。

 

 

単なるインターンであれば、

学期が終われば去って行くけれど、

私と先輩の場合は、

その仕事ぶりを認められ、雇われ、

そして見習いエンバーマーの

ポジションを得るまで至った。

 

 

こうなると、

ピナの中の”私だけ特別感

次第にかき消される。

 

 

そういった様々な事情が

過去に沢山あったので、

ピナは最初の数ヵ月は

私にエンバーミングすら

させてくれなかった。

 

 

そのうちサンドがそれに気づいて、

私にやらせるようになる。

 

 

しかし、最初の25体は

スーパーバイザーの元で

エンバーミングをする、

もしくは、

スーパーバイザーのエンバーミングの

アシスタントを

しなければならないのに、

ピナはそれすらもやらず、

最初から私に1人で

エンバーミングさせ、

見に来てくれさえしなかった。

 

 

分からない事があって質問しても、

もちろん、教えてくれない。

 

 

そんな時にリモデルが始まり、

また数ヵ月、

エンバーミングが

できない状態が続いた。

 

 

更に悪いことに、

クラスメイトのバカンジーの影響で、

職場での私の評判はガタ落ち。

 

 

仲良くしていた同僚のブリオは、

私とは距離をおくようになり、

アレンジャーのアンパンからは

毎日のように暴言を浴びせられ、

そしてピナも、

そういったポジション関係のことで

冷たい態度になった。

 

 

私はApprentice Embalmer

といったポジションで

あったにも関わらず、

やらされていたことは

星トイレ掃除

星掃き掃除

星備品補充

星その他雑用

が主で、エンバーミングどころか

単なる掃除係的な仕事ばかりで、

なにもかもが

上手くいかず空回り状態だった。

 

 

私は思った。

”もしかしたら、職場を

変えた方がいいのかもしれない”

 

 

そんな事が頭をよぎり始めた

2022年7月の終わり、

リモデル中だった

Prep Room

(エンバーミング室)

が完成した。

 

 

そして完成した翌日仕事へ行くと、

サンドが笑顔で言った。

 

 

『ピロ、今日は1体

エンバーミングがあるから

新しいPrep Roomでやってきな』

 

 

私は耳を疑った。

 

 

そんなことしたら

ピナから殺されるだろピリピリ

 

 

ピナを見ると彼女も、

『今日はエンバーミングがあるけど、

私はオフィスの仕事で

手が離せないからお願いね』

と優しく微笑んで言った。

 

 

マジ!?

 

 

あれだけ私に

エンバーミングをさせなかったピナが、

新しくなったPrep Roomで

一番最初に私に

エンバーミングをさせるの!?

 

 

結局それ以降も、

今までのように

ピナが私を阻止することはなくなり、

それはサンドからも発表があった。

 

 

『今後のPrep Roomの件なんだけど、

ピナがスーパーバイザーではあるけれど、

職場としては

オフィス仕事の方で彼女が必要だから、

ピナには主にオフィスで仕事をしてもらい、

実際にPrep Roomで

エンバーミングをするのは

ピロにやってもらいたい。

それからピロには、Prep Roomの

薬品や備品などの管理も

全てやってもらいたいから、

今後はPrep Roomの担当者として

Prep Room全般管理を

任せていきたいと思ってる』

 

 

こうして私は、

新しいPrep Roomの

担当者となった。

 

 

一体なにがどうしてこんな話になり、

どう説得してピナが

そんな心変わりをしたのか、

真相は不明。

 

 

しかし、

私のライトワーカー友達曰く、

『ピナさんも、ここに来てやっと

ピロさんの働きぶりや誠実さを

理解してきていて、

ピロさんが、決して彼女の

ポジションを脅かそうと

思っているわけではないことを

理解してきたというか。。。

それから、ビジネス的にも

敵対するよりも、

お互いをヘルプしあって

能力を高めあっていく方が、

いいのだといったことに

彼女自身が気づいてきた、

ということでもあるのだと思いますよ。

そんな時に、サンドさんからの

話もあり、、、とかでね』

 

 

というわけで、数か月間

同僚やクラスメイトからの

激しいイジメに耐えた私に、

神様がプチプレゼントを下さったプレゼント

 
 
 

しかし、

そう簡単にはいかないのが

ライトワーカーの人生。

 

 

これにかなり不服だったのが、

言うまでもない、

バカンジーとブリオだった。

 

 

ブリオに関しては以前、

エンバーミングツールのカートを

抱えるような仕草をし、

『これは全部ピナのだから!』

と言って露骨に

”お前にここでエンバーミングする

資格なんてないんだぞ!”

的な事を言ってのけている。

 

 

クラスメイトのバカンジーに関しては、

オフィスのリモデル後、

自分のデスクを貰えたことで

いい気になっていたけど、

私の方は、デスクどころか

Prep Roomを丸々任されたのだ、

こんな腹立たしいことは

なかっただろう。

 

 

というわけで、

ここでお決まりのパターンが

訪れる。

 

 

バカップル2人からの

嫌がらせ。

 

 

ある日私がエンバーミングしていたら、

アスピレーターというのが突然壊れ、

本来吸い込むはずのものが

逆流して勢いよく吹きだしてきた。

 

 

みるみる床が

汚染水で汚れていく。

 

 

ヤバイピリピリ

 

 

そこに丁度ブリオが入って来た。

 

 

私がブリオに、

『双子を呼んできてくれる?』

と頼むと、ブリオも

『分かった!ちょっと待ってて

すぐに呼んでくる!』

と言って急いで出て行った。

 

 

双子とは、うちの職場に

ハンディーマンとして

よく出入りしていた

双子のメキシカンである。

 

 

この日丁度来ていたので、

ブリオに頼んだのだ。

 

 

しかし、待てど暮らせど

ブリオも双子も来ない。

 

 

私は自分で呼びに行くか

ピナに連絡しようと、

PPEを脱いで

Prep Roomを出て行った。

 

 

廊下を早歩きで歩いていると、

横の教会に、

ブリオとバカンジーが座って

まったりとおしゃべりしていた。

 

 

それを見て嫌がらせだと

すぐに察した。

 

 

なので敢えて知らん顔して

2階に行ってピナを呼ぼうとしたら、

そこに丁度双子が来た。

 

 

すると、いつもはとっても

ナイスな双子が

突然私に怒鳴りだしたのだ。

 

 

基本的に彼らは

英語がほぼ喋れないので、

理解は難しかったけど、

言っていたことはこうだった。

 

 

星先日自分たちが直したばかり

星その時はちゃんと作動した

星だから壊れたのは自分達のせいじゃない

 

 

ここでも察した。

 

 

恐らくブリオかバカンジーが、

彼らの修理が悪かったから

こうなったのだと、

私が文句を言ったとか

大方そんなウソを言ったのだろうと。

 

 

私はヤツらの前で

双子に怒鳴られている横で、

バカップル2人は

”ざまーみろ!”な顔して

ニヤケていた。

 

 

結局、双子は修理できないと言って

帰って行ったので、

私がピナに連絡した。

 

 

ピナと2人で

バカップルが座って寛いでいる

教会の横を通ると、

2人は今度はバツが悪そうな顔して

顔をそらして黙った。

 

 

という事があり、

Prep Roomの担当者には

なったけれど、

それに対する嫉妬のイジメが

また一段と酷くなっていった。

 

 

 

ではでは皆さま、

また金曜日花火