最後の夏休み:はじまる嫌がらせ | ピロの屋本館@ロサンゼルス

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天使の女王の町Los Angelesでの生活記録

 

 2022年夏休み

 

今日からまた新しい地獄記事を、

夏休みとして綴っていきたいと思います。

 

 

さて、

念願のエンバーミングクラスを

無事にパスし、

夏休みになった。

 

 

学期が終わったのが

5月の終わりで、

次の学期が8月終わり頃から

はじまる予定だったので、

実に約3ヵ月の休み。

 

 

ある日仕事に行ったら、

例のクラスメイトの

バカンジーが、

ご遺体にメイクをしていた。

 

 

”は?ちょっと待って、

何してんの、コイツ?!”

 

 

ヤツはアレンジャーとして

雇われただけ。

なのになぜ、

本来Apprentice Embalmerが

やるべきヘアメイクを、

ヤツがやるのか!?

 

 

私はかなりムッとしたけど、

まぁそこで感情的になるのも

大人ではないので、

やり過ごした。

 

 

しかし、やはり別の日にも、

バカンジーは当たり前のように

ヘアメイクをやり始めた。

 

 

一体全体どうなってるんだか。

私は怒りを覚えたムカムカ

 

 

それをマネージャーが

指示してやらせているのか、

それとも本人が

やりたいと言ったのかは不明。

 

 

けど私もここでは

あまり強くは出られなかった。

 

 

理由はやはり

アメリカあるあるですが

人種。

 

 

ここはメキシカンアメリカンの職場。

なので東洋人は私だけ。

 

 

当時の私は、

マネージャーからは

それなりの信頼を

得てはいたと思う。

 

 

けれど、だからと言って

何があっても全面的に

味方になってくれるだろう、、、

なんてことは

考えない方が無難。

 

 

なのでここは、

黙ってそれを

見逃すしかなかった。

 

 

一方バカンジーの方はというと、

相変わらず同僚のブリオを

いつも周りにいさせるようにして、

自分をプロテクトしていた。

 

 

なぜそう思うのかというと、

奴らの動きが不審だったから。

 

 

例えば、バカンジーが

黙って自分のデスクで

仕事をしているとする。

 

 

そこにブリオが来る。

 

 

すると、2人は何も会話を

していないのに、

突然バカンジーが立ち上がって歩き出し、

そしてそれにブリオが

黙ってついていくと。

 

 

こういった不審な動きは、

私がバカンジートラブった後にも

ヤツが他のクラスメイトに

やっていたことがあった。

 

 

私と別のクラスメイトが

喋っていたら、

彼女のスマホにTextが入った。

 

 

するとそのクラスメイトが、

『ちょっと待ってて』

と言って、

なんだか戸惑った感じで

教室を出て行った。

 

 

私はそのすぐ後に

トイレに行こうと思って

やはり教室を出たんだけど、

そこで見たものは、

廊下でそのクラスメイトと

バカンジーが喋っていた光景だった。

 

 

その時にそのクラスメイトが、

私が出てきたのを見て、

”あ、どうしよあせる

のような反応をしたことで、

バカンジーが私の悪口を

その子に言っていたのは

察しがついた。

 

 

つまりヤツは、

なにかあるとすぐ人にTextを送って、

助けを求める、

呼びつける、

そして

一緒に行動をする

という習性がある。

 

 

まぁよくいるけど、

典型的な

一人では行動できない人間

なわけです。

 

 

で、こういった人間というのは時に、

人を使って人を攻撃してくる

なんてことをしてくる時も

往々にしてある。

 

 

 

そしてこのバカンジーの、

”誰かに助けてもらう”

”誰かに攻撃してもらう”

といった性質が、

とある朝のミーティングで始まった。

 

 

ある日マネージャーのサンドが、

『ミーティングをするから』

朝、皆をオフィスに集めた。

 

 

そこでなんか知らんけど、

自分はこのチームが

とても素晴らしいと思っているから

これから忙しくなるけれど、

みんなで協力してやっていこうじゃないか

的なことを語っていた。

 

 

するとそこで、

アレンジャーとして働いている

アンパンというおばさんが、

突然私に向かって

喰ってかかって来た。

 

 

『ヘイ、ピロ!!!

あんたちゃんと聞いてるの?』

 

 

この突然の出来事に、

私を含め、みんな

ポカーンとした。

 

 

なぜなら私は、

よそ見をするでもない、

隣の人とくっちゃべるでもない、

居眠りもしていなければ、

普通に座って

話を聞いていただけだったから。

 

 

そしてその時のバカンジーの

ニタッとした顔を、

私は見逃さなかった。

 

 

”あ、お前がまた

嘘を吹き込んだわけね”

私はすぐにピンときた。

 

 

で、ここでもまた繰り返しなんだけど、

そういった挑発に乗るのは

大人ではないし、

第一、ヤツらのいる低いレベルに

落ちたくはない。

 

 

なので私は無視を決め込んだ。

 

 

そのアンパンの突拍子もない攻撃に、

私もその他の人も

反応の1つも示さなかったからか、

アンパンは更に続けた。

 

 

『何か意見の1つでも

言ったらどうなのよ!!』

 

 

更に無視を決め込む私に、

サンドが言い返してくれた。

 

 

『何言ってんだ、アンパン!

ピロはちゃんと聞いてるだろ!』

 

 

そら見たことか!

 

 

サンドが私をかばったのが

バカンジーは気に入らなかったようで、

一瞬その悪意に満ちた

ニンマリ顔が引きつり、消えた。

 

 

その後もバカンジーは、

チャペルでサービスが終わっても、

下りてきて掃除やら片付けを

手伝うでもなく、

トイレ掃除をするでもなく、

次の葬儀のセットアップをするでもなく、

マネージャーたちと涼しいオフィスで

特に仕事をするでもなく、

珈琲飲んで座って

クッチャべっているだけ、

といった

見事な仕事ぶりをしはじめた。

 

 

そんな感じで、

大変な仕事とか汚い仕事は一切やらず、

奇麗で楽しいヘアメイクだけはやる

といった、

女王様ぶりを発揮しはじめた。

 

 

新しくなったオフィスで

マネージャーやら

スーパーバイザーやらと同じ空間に

自分のデスクをもらい、

そこで優雅に仕事をする

単なる新入社員。

 

 

私の方は、

仕事に行って挨拶をしても、

アンパンが全く無視するようになった。

 

 

そして、オフィスの横に

キッチンとダイニングがあるんだけど、

そこのところに古いデスクがあって、

私がそこで書類を書いていたりすると、

怒鳴りつけてきたりした。

 

 

『お前!!!!

なにデスクなんかに座ってんだ!

とっとと荷物をどかして

どっか行け!!!』

 

 

また別の日には、

マネージャーのサンドが

私の字が奇麗だと褒めたら、

『ピナの字はなぐり書きだけど、

ドクターとかもそういった字を書くから、

彼女は頭がいいからそうなのよ。

しっかり書くヤツなんて

アホしかいないわ!』

と、1人で笑い倒していた。

 

 

またある日には、

墓地での葬儀のアシスタントで、

汗だくになって

ディレクターたちと帰ってきたら、

『どーせ汗だくで汚いんだから、

私の車を洗車してこいよ(笑)!』

と、ケタケタと

バカ笑いをして

言い放ったこともあった。

 

 

帰りがけにサンドに、

『次は明日くればいい?』

と聞いて、サンドが

『そうだね』と言ったので、

何時にくればいいかを聞いた。

 

 

サンドが

『明日は11時からの葬儀の

手伝いをして欲しいから、

10時までにくればいいよ』

と言ったことに対し私が、

『あ~、10時ね。

9時じゃなくてもいいのね?』

と念を押したらアンパンが

突然飽きれてなにか言ってきた。

 

 

『あんたね~、自分だけが

スケジュール入れると

思ってんじゃないよ!』

 

 

・・・・?

私別に、

”スケジュール入れてくれ”

なんて

一言も言ってないぜ笑

 

 

むしろそれはバカンジーの方。

 

 

ヤツは、

”自分が家計を支えている”

とかサンドを騙して、

夏休みの、月ー金と

ほぼフルタイムで入っていたので、

そのお陰で私、オスティン、それから

サンドの従弟のエディオンが

なかなかスケジュールに

入れてもらえないといった

状態になっていたのだった。

 

 

でもブリオだけは

やはりフルタイム状態で

スケジュールに入っていた。

 

 

まぁ彼はサンドが

前の職場から引き抜いてきた

人材だったので

マネージャーお気に入りだったから。

 

 

バカンジーも、

その気に入られているブリオと

付き合っているってことで、

仕事に入れていた部分も

多かれ少なかれあったと思う。

 

 

それから

そのおばさんアレンジャーのアンパンは、

この業界のアレンジャーとして

20年以上働いている

といったお局だったんだ。

 

 

年齢は私の6つくらい上。

 

 

だけどもライセンスどころか、

なにかの修了書とかの

1つも持っていなかったので、

年齢が近い私が、

この年になってから

Mortuaryの学校へ行き始めたことに

エラく嫉妬していたのは

言うまでもない。

 

 

そういった理由で前々から

気に入らなかったんだけど、

別段イジメる理由もなかった。

 

 

と、そこに

バカンジーが入ってきて、

根も葉もない私に関する

ネガティブなことを

吹き込んだことで、

アンパンが目をつけて

ここぞとばかりに

攻撃をしかけてきた

といった感じだった。

 

 

バカンジーは当然、

アンパンが私に嫌がらせを

している横で、

”ざまーみろ!”

的な不敵な笑いなどを浮かべて

それは大満足だっただろう。

 

 

こうして、

職場での私イジメが始まった。

 

 

それでもまだ救いだったのは、

ブリオ、オスティン、

それからエディオンは男だけあって、

そういった女のネチネチには

加わらなかったこと。

 

 

そして私が一緒に仕事をするのは、

ほとんどがその彼らだったので、

オフィスに居る時には

こういった感じで

アンパンの攻撃はあったにせよ、

男の子たちと出ている時には

普通に楽しく仕事ができた。

 

 

それでもなんだか、

勤め始めてたった3,4ヵ月の

バカンジーが

我物顔で偉そうにふんぞり返って、

アンパンが私をイジメているのを

ほくそ笑んでいるという図は、

決して快くはなかった。

 

 

なので職場を変えたいとは

度々思ったけれど、

まだ学校も終わってない、

ライセンスも持ってない、

仕事もろくに知らない

あの頃の私には、

とりあえず2年間の見習い期間が

終わるまでは、

この職場を辞めるわけには

いかないよな~

といった思いがあった。

 

 

それでも、

これを頑張って乗り越えれば

エンバーマーになれるんだアップ

と強く願って、

辛くなった時には

いつもそう思って乗り越えた。

 

 

 

ではではみなさま、

また金曜日に音譜