じわじわと周りに我が家が引っ越すという情報が流れ始め、ご近所さんからなぜなのかと聞かれることが何回かあった。

ざっくりと事の経緯を話し、今は夫婦で無職だと笑いながら伝えると皆驚きの方が勝つようで眉間にシワが寄っていた。(笑い話にしたかったが気を遣われてしまった)

それは想定内の反応だったが、貯蓄を切り崩して生活できるのかというところに興味を持っているようだった。

誰しもが気になる家計については、ある程度の生活防衛費はあったので今こそ遣って循環させる時だと思っていた。

 

先の見えない未来のために貯蓄しておくこと。

それは過去の私にとって果てしない「節約」との戦いだった。

具体的な将来像が見えない故に楽しいと思えない作業だ。

節約ばかり意識していると「今」を大事にできずにどんどん疲弊していく。

買い物に行って節約、料理しながら節約、たまのレジャーで節約。

節約する為に生きてるんかってくらい常に節約で大体不機嫌で空気が重い。

自分も家族もかわいそうになってくる。

今何をしたいのか、今何を感じているのか、今この瞬間幸せか?

見えないものの為に不機嫌であることを辞めて今を機嫌よく楽しむと決めてからは、できるだけ色んなことを自分でできるように試みている。

自分でできるならお金はかからないし、得意な分野なら楽しんで知識や技術を高められる。(苦手なことは得意な人に任せるのがコツ)

今は家で散髪の修行中で、家族全員3年は床屋に行っていない。

不機嫌な状態は不機嫌な現実になるし、機嫌よく好きなことをしていれば自分の思う通りにいくと思っている。

成るように成るのさ、ケセラセラ。

 

家の売却の件だが、引っ越しが済んで2か月後くらいに買い手がついた。

とても家を気に入ってくださり、本当に感謝している。

少し前に車のローンも完済していたので、やっと借金ゼロ生活を送れるようになった。

月々にかかるお金が前より減り、それだけでご機嫌だ。

 

こんな風にして私たちの道北での生活が始まり、毎日心穏やかに過ごして2年半が経つ。

実際には朝から笑い話で盛り上がったり、歌い出す者もいれば、踊り出す者もいて楽しく騒がしくしている。

息子2人は残りわずかだった中学校生活を思ったよりも楽しんだのち、高校進学は選択せず(学校という組織がどうしても肌に合わないのだそう)、町でアルバイトをしながら家での作業も一緒にしている。

職場の先輩方の人柄がとても良く、毎日面白い話を持って帰ってくる。

一緒に働かせていただいて本当に有難く思う。

多感なお年頃の娘はブーブー言いながらも学校へ通っているが、どうしても気分が乗らない日は無理せず家でしたいことをしている。

それでいいそれでいい。

私たち夫婦は定職には就かず、たまに農家さんの手伝いや屋根の雪下ろし等をしている。

これからは、自分たちが得意なことを無理のない範囲で、必要としてくれる人に提供していければと思う。

人との繋がりを大事にしたい、できれば年長者の話をたくさん聞いて知恵をいただき繋いでいきたい。

そこから派生していき、ゆくゆくは年齢や性別関係なく気の合う仲間が自然と集まって一緒にごはんを食べたり共通の趣味で盛り上がったりできるゆるく穏やかな場所を築きたい。

漠然としているが、それが今の私たちが思い描いていることだ。