ガキの頃から好きなチームがある


イングランドの地方にある港町


真っ赤に染まった5万人のサポーターに


愛されるサッカークラブ







憧れのヒーローがいたわけではなく


主役の11人が5万人ものサポーターに


応援されることが羨ましかった




港町の荒くれ者の男たちが観客席から


自分の夢を重ね、アカペラで


You'll never walk alone

 (君は独りじゃない)


を大合唱する






「俺たちの分まで頑張れ!」と





あんなにカッコいい大舞台に立てたら


きっとどんなに辛くても希望を捨てずに


ネットを揺らすため最後まで全力で


走り続けられるんだろうなと思った。





胸が踊り、青い空に向かってボールを


蹴り上げていた日のことを思い出した












この歳になってまた好きなチームができた






嫁がいるチーム






ボールは無いし、ゴールは3000もある




リーダーが1人で立ち上げ、


3000人の理解者が取り囲む




色も真っ赤な1色じゃなく好き放題の3000




みんな「自分らしく」をモットーに


一生懸命やりたい放題のチーム




リーダーは決して「頑張れ」とは言わず


「自分は自分」で良いんだ、と諭してくれる






3000人は本当に素直で、皆を応援し合うし、


皆それぞれが大舞台の真ん中にいる








そんなチームを作ったリーダーの


呼称について皆が話し合っていた


「所長」とか「園長」とかいろいろ




どうやら「所長」に決まったらしいが、


俺も言わせて欲しい


「あなたのおかげで嫁はいつも笑顔です」


「あなたがいるから嫁は真っ直ぐに

 ゴールに向かっています」


「あなたは俺たちにとって一番の

 応援団長です」


「心の中でいつも『団長』と呼ばせて

 もらっています」















隣りを向くと、子供のような寝顔の嫁が


寝息に合わせて静かに揺れている






そっと声をかける


「良いチームに入れて貰えたんやな」

「You'll never walk alone










俺も上を向こう


今日も暗い天井に向かって


未来で起こす夢の続きを描こう








明日もきっと良いことがありますように