ディンギー時代の話
日曜日で快晴 風は北寄りの順風
最高のセーリング日和
初心者には少し風がきつい
仲間のあまりヨットに乗ったことのないのが彼女連れで来ていた
「河口の辺りまで行ってみるか」
誘うが自分のことで手いっぱい
彼女を載せるどころではない
乗せてやってくれと言うので
ぐるっと一周回って来るかと
ディンギーに飛び乗り颯爽と走らせた
「キャー」
あまりのスピードに歓声が上がる
向こう岸の手前に差し掛かったところでセンターボードに違和感が・・・
彼女には「沈」した時の対処の仕方など説明はしてあった
「ヨットから離れないように何かロープ類をつかんで楽するように」
「万一離れてもライフジャケットがあるから心配ない」
この時はいきなりの沈ではなくゆっくりした沈だった
センターボードが砂に刺さったのだ
浅いと感じたのでひとまず沈して立て直そうとした
水深は腰までもない
ふと 彼女の方を見ると必死の形相で岸に向かって泳いでいる
冷やかに「何やってんの」
「え!」
浅瀬で立って 笑ってるこちらを見て
恥ずかしそうに立ち上がった
彼女の見解だと
「ヨットが沈没した
ライフジャケットを付けているので足がつかない
岸が見えてる居るので必死で泳いでいた」と言う
陸に上がって盛り上がってそのまま夜の街へ繰り出した