TAWASHIさんの動画チャンネルで、新動画がアップされた。
結論としては、今年もTAWASHIさんを担当するという内容なのだが、今回はちょっとだけ小言を言わせていただいた。
TAWASHIさんが東大に合格したいのは分かる。そして、多くの人がTAWASHIさんに合格したいと思ってもらっているのもわかる。しかし、ご自身の動画チャンネルだからか、多くのコメントは「応援しています」や、「頑張ってください」など、温かいコメントであふれている。
アンチコメントもあるが、愛情あふれるアンチコメントは、残念ながら少ないように思える。
私も、本音で言うとチャレンジしてほしいし、合格するまで応援する気持ちに変わりはない。
多くの塾や予備校が、生徒を合格させるために存在している。敬天塾ももちろんその側面はある。しかし、私は敬天塾を「合格させるための塾」にしたくない。
「生徒を応援する」のと、「生徒を合格させる」は違う。大学の合格は最大のサポートなのかもしれないが、人生からして見れば一部だ。敬天塾は、生徒としてかかわった若者の人生を応援する塾でありたい。
まだ小さくて何もできない塾なので、そんなサポート体制はない。その前に、私に能力が足りなすぎる。「お前に何ができる」と言われたって、反論はできない。でも理想を掲げながら、着実に前に進みたい。
正直言えばTAWASHIさんのように「何もない」人間からすると、東大合格にすがる気持ちは分かる。そして、日本はなんだかんだ言って、頑張る人を応援する人が多い。
しかし、東大合格というのは、頑張っているだけで応援されるようでは甘い。受験する人は皆頑張っている。合格する努力ができるかどうかだ。
私も、TAWASHIさんを通して、いかに東大合格が難しいことなのか、よく教えてもらった。TAWASHIさんに2度もつらい思いをさせてしまったことは心から申し訳なく思うし、失った時間は返ってこない。
東大合格は甘くないことをよく教えてもらったからこそ、そして、TAWASHIファンの一人であるからこそ、今回はどうしても言わざるを得なかった。
「今年も頑張りましょう」ということは簡単だが、それはちょっと違うのではないかと思ったのだ。
実は、この動画の撮影直前まで、違う内容を撮る予定だった。
しかし、直前で私が内容の変更を申し出て、「TAWASHIさんを応援するファンを代表して、一言いいたい」と主張して、あの動画になった。
動画として残ることもあるため、下品な言葉はつかえない。とはいっても、結構カットされていたので、もしかしたら言葉をもう少し荒げていたのかもしれないが、撮影中は「ガチ」で話した。
動画中、私はTAWASHIさんに覚悟を問うた。
覚悟を言葉で表現するのは難しい。そして、言葉だけでは何とでも言える。
先生をやっていて学んだのは、良くも悪くも、生徒の言葉は100%信じない、ということだ。
だから、私が動画中で覚悟を問うたことは、TAWASHIさんにとって酷だったと思う。どうやったって、自分が東大に合格する覚悟を持っていることを、短時間で動画で表現できるはずはない。
しかし、問わざるを得ない、というのが正直な気持ちだった。
だから、少なくとも、ガチの撮影中にくらいは、私が酷な質問を投げかけたあとに、即答で「覚悟がある」と返してくれた時には、嬉しかった。
同時に、自分も覚悟を決めなければならないと、覚悟した。
敬天塾みたいな、胡散臭い塾なんてやめろとか、大手予備校に行くべきだというような、敬天塾に対するアンチコメントもあるのは知っているし、そりゃ私も「もし大手さんに通っていれば、受かったのかなぁ」と思うこともある。
しかし、それでも選んでくれたことはうれしいし、だからこそ期待に応えられるよう、今年は私もギアチェンジをしようと思う。
さて、TAWASHIさんは、普通の受験生ではない。
顔を出し、落ちる姿を晒し、模試を受けては結果を発表している。生活費はそれほどたくさんかからないとは言っても、ある程度は収入を得ながら受験勉強をしなければならないし、年齢も普通の受験生の倍近い。決して天才的な、勉強への能力があるわけでもないと思う。受験本番でのメンタルが強い方ではなさそうだ。
敬天塾には、中学受験で名だたる中学に合格し、お金や環境などを全面的に保護者の方に支援してもらっている受験生が問い合わせに来る。お金の心配がなく、暑さ、寒さや空腹、温かいベッドの心配もない。アンチコメントにおびえることもない。
これを比べると、TAWASHIさんは不利な状況の中、よくやっているなぁと思う。弱音を吐くこともなく、貧乏でも毎日勉強を続けている。
「本当に勉強をしているのか」などコメントがつくこともあるが、本当にやっている。例えば、直前期には、毎日数学の東大過去問の添削依頼が様々な科目合わせて5枚10枚送られてくる。
「毎日数学をしろ」というコメントもあるが、TAWASHIさんは毎日数学をしても、あれくらいの成績だ。毎年伸びてはいるが、東大文系受験者の中で、リードを勝ち取れるほどの力はまだない。
このような状況の中、孤軍奮闘しているのがTAWASHIという男だ。
TAWASHIさんも、一人の人間だ。
悩み、苦しみ、一生懸命に生きている。
このような苦しい状況でも、前を向いて頑張ろうと思っている。その姿は、貴いと思う。だから応援しているし、合格することで希望を持つ人がたくさんいるだろう。
TAWASHIさんを応援しようとしている方は、ぜひ引き続き動画のアップを楽しみにして、TAWASHIさんの人生を追いかけてほしい。そして、温かいコメントなどで、力になってあげてほしいと切に思う。
以下、蛇足。
なお、「敬天塾のイメージが下がった」とか「宣伝に使っている」とかというコメントを頂戴する。
あまり経営に話は書きたくないのだが、誤解されても困るので、今回限りは書いておく。
まず敬天塾のイメージについてだが、別にイメージ向上のためにTAWASHIさんを応援しているわけではないので、イメージが下がろうが構わないと思っている。仮にイメージが下がったことで何か不都合があるのならば、TAWASHIさんと関係のないところで上げれば良い。
もっと突っ込んだことを書くならば、イメージが良い方が問合せがたくさん来るのは分かってはいるものの、うちは問合せがたくさん来ても、受け入れる体制がないため、パンクしてしまうだけだ。だから、生徒がたくさん来ても、困るという事情もある。
「宣伝に使っている」という指摘に関しては、心では否定するものの、結果として宣伝になってしまっているので、明確には否定できない。別に宣伝に使いたいわけではないが、TAWASHIさんを応援するためには、自分が動画に出たほうが動画のネタにもなるし、何より「動画に出てくれませんか?」と言われるので出ている。
動画やSNSでも、「敬天塾をお願いします」などのセリフは言ったことがないはずだ。TAWASHIさんを応援してくれ、としか言っていないと思う。
たまに質問をもらうので、なぜ私がTAWASHIさんを応援しているのか、説明することもあるが、それくらいだ。
ただし、うちの経理・財務担当はやはり宣伝に使いたいという気持ちもあるようで、毎回どれくらいTAWASHIさんを宣伝に使うか、私とケンカになる笑。結局は過度にならず、TAWASHIさんがOKな部分までという結論になるが、うちとしても生徒が集まらないことには生きていけないので、「TAWASHIを宣伝に使うな」という批判も、多少は大目に見てほしいと思う。