朝、起きる。

カーテンを開ける。

まだ日の昇っていない暗い空を見ると、3年前を思い出して胸がギュッとなります。

来年からは娘もJCを卒業してJK見習い。

そしたら「中学」受験への甘酸っぱくて少し苦い心持ちからも卒業できるのだろうか。

いや、卒業しないといけない。

もう明後日は大学受験ぐらいの勢いになっている親子さんたちもいるはずです。

 

 

さて、こちらの絵をご存じでしょうか。

日能研のリュックを背負った男の子と女の子が川縁でお話をしています。

キャプションは「2021年1月30日 迎えの親を待つ時間」。

我々2021年組ではなく、いま中2の2022年組のお子さんたちだと思います。

 

コロナ下、緊急事態宣言が発令されて外出もままならなかった時の空気感を今日マチ子さんが絵で記録された『Distance』の1月30日ページに描かれていました。

今日マチ子さんと言えば、中学受験漫画『セキ☆ララ中学受験』『すずめの学校』も有名な、JGから東京藝大に進学されたクリエイターさん。

御本をいただきこのページに辿りついた時は、まさかの日能研バッグを背負った子どもたちの登場に、手が震え、思わず涙がこぼれ落ちてしまいました。

娘が、というより、コロナ禍の受験生の親たちの、あの悲壮と混乱と焦燥と期待を含んだ強烈な高揚感を思い出したからです。

親の不安よりもっと大きなものを背負っているのに、その背中は何と軽やかなんだろう。

 

今年、中学受験を迎える小さな戦士たちと、この日にに辿り着くまで伴走されたご両親に、最大のエールと称賛を送ります。

 

 

<おまけ話>

 

日能研リュックを背負った男の子と女の子と言えば、可愛いシーンを見かけたことがあります。

あれは10年ほど前。

代官山エスペランザ通り、キャッスルマンションの前あたりから八幡通りに抜ける細い階段の道を、まだ小さかった娘を連れて登ろうと思ったところ、日能研のリュックを背負った女の子がひっくり返って空を睨んでいました。

隣りには、同じリュックを背負った優しそうなメガネの男の子。

「ねえ、そろそろ起きて行こうよ。遅刻しちゃうよ」

でも女の子は「やだ。行かない」と階段に寝転んだまま。

男の子は「ほら、もう行くよ」としゃがんで女の子を手をとり、そっと立たせて、服の汚れを落としたかと思うとふたりで顔を見合わせて「アハハハハ!」と笑い出し、突然パッと走っていってしまいました。

 

ボーイフレンドかな、二卵性の双子かな。

目の前で繰り広げられた寝転びからの走り出し、という緩急あるストーリーに、まだ娘が小さかったわたしは「小学生って、こんなにロマンチックな毎日を送っているのか!」と思ったものでした。

 

それから数年後、まさか日能研の前の道で「もう遅刻だから行かない!」と小5の娘が寝転ぶとは(実話)思ってもみませんでしたとさ。ちっともロマンチックじゃない!ちゃんちゃん。