『二月の勝者』19巻、読みましたー。

読み終わって思ったのは、あんなに自分ごととして近かった中学受験がもう遠くなってる……かな?ということ。

そして右往左往している桜花メンバーを見て「やだ、うち、高3でもこれやってそう」と娘の3年後が心配になったことです。

 

ここからは、ものすごいネタバレです。

微に入り細に入ったネタバレですので、まだお読みではなく、これから読まれる予定がある方はここでお引き返しいただけると幸いです。

どうぞよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**********  ネタバレ  **********

 

 

 

 

 

 

前巻18巻は17巻の怒涛の意味不明から脱却していて内容的には「なるほどねー」「そっかそうだったのね」という自然な流れになっていると思ったのですが、ひとりだけ気になっていたのが、中立(共立)に初日で合格をもらっているにも関わらず中夫(大妻)や昌川(品川)など更に違う女子校を受け続ける予定の真田歩夢さん。

N50~50後半はたくさんの素敵な女子校があって、その中からモテ系だったり良妻賢母系だったり深窓のお嬢様系だったり(辛酸ナメ子氏調べ)個性で学校を選び、第一希望を2月1日AMに受けるのが中堅女子校受験のセオリーだと思っていたので、「え?第一希望受かったのに、違う学校に早起きして受けに行くの?それは大変!」と驚いたものでした。

 

確かに中立と中夫は昔からイメージがかぶるところもあるけれども、それでもやっぱり校風も違えば路線も駅からの時間も違うので、真田さん本人が中立熱望ではなければいいなと思います。

「中立も好きだけど、中夫はより好き」と思っていての、あの真冬早朝の暗黒寒々行脚であってくれれば!

なんて考えていたら、19巻で中夫に合格していた真田さん。

中夫中 真田歩夢○  根津沙羅々×

わあ、では中夫に進学かな。吉祥寺からなら市ヶ谷まで総武線で1本だし制服も似合いそうだしおめでとう!と思っていたら、電話に出た先生が「そうですか。それでは、根津さんは帝都女学館に進学決定。受験終了ですね」と言っているのに真田さんが受験終了の文字が出てこない。

女子校路線でいくと3日の学習院女子や東洋英和は前日申し込みはできないので、3,4日休んで5日の頌栄あたりチャレンジするのかな。

もしまだ受験が続くなら、がんばれ、真田さん。それがお母さんのではなく、本人の意向であることを心より祈ります。

 

と意外なところに引っかかっていたわけですが、わたしはあのイタズラ小動物っぽいキュンとした笑顔の根津沙羅々さんファンなので、女学館の制服着ているところを見てみたいです。ああ、似合いそう!できればリュックじゃなくてバッグを持ってほしい、と細かいところまで願ってしまいますw

 

「これは深い!」と思ったのが、島津くんと上杉くんの会話です。

「ああ、島津くんが中学受験層とスターフィッシュの橋渡しをする役なのか!」と今さらながら気づきました。

大人の事情で精神的に自立・成長しなければならなかった島津くんの諦念に溢れたセリフと、A3コピー機業務用が家にある上杉くんの「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」節炸裂、そこからの勘の良さ・品の良さからの理解の流れに、今はいろいろあるけれど、ふたりはきっと立派な大人になれるよ、と、いう輝かしい未来を見ることができました。

島津くんに開成の繰り上がり、来てるといいな。

あ、でも橘先生の「黒木センセ、これ、順の自己採点」から勝手な推理をすると「黒木センセ、順の大石山(小石川)の自己採点、私立式でしちゃってるから6割だけど、これ本当は9割行ってない?」かな、なんて気もするので電話の相手はまだ確信できません!

 

そして、理衣沙(なぜか呼び捨て)!受けて、受かって、本当に良かった〜。

今回はっきりわかったのは、理衣沙母はとにかく幼い。尋常じゃなく幼い。

子どもの行動を支配しながらも、理衣沙に甘えて依存して恐怖を肩代わりしてもらっていることが、合格発表の時のシーンを含め最後の最後でよくわかりました。

ひとけがない学校で、「人、少な……」って声に出して言わないでよ!

今からひとりで試験に臨む理衣沙の恐怖心を、お母さんが煽ってどうする。

しかも、なぜそこにいるか考えてみるがいい。

自分が理衣沙の偏差値を受け入れることができずに無理な学校ばかり受けさせているからであって、体調不良やメンタル、問題の向き不向きによる不運で偏差値的に安全だったはずの学校が取れずにそこにいるわけではないのだから。ましてや、本人の強い強い熱望による特攻でもない。

というわけで最後の最後まで理衣沙母にはプンスコしてしまいました。

理衣沙はカサブランカで素敵な先生や先輩、友だちと共に母の影響を極力少なく育って行ってほしいです。

 

このタイプ、1月10日より前のうちかな、な原くん。

黒木先生に話しかけられるとビクッとする原くんは、とにかく「怒られること」「叱られること」が大嫌いなんだろうと思います。

お母さんが正論と正義を巨大ブレードのように振りかざすおうち(すみません、うちもそう)にありがちな現象かも。

だから子どもは言質を取られないように、人に決めてもらって生きようとする。

娘は原くんと違って、なにかというと背中から正義のブレードを抜いて構える母に対抗するべく、自分なりの正論と正義のモーニングスターを磨き上げていたので、なんとか試験前月には志望校ができていました。

でも最後の最後で、絶対的に立ちはだかる壁=お母さんと戦う時、好敵手になってくれそうな黒木先生にいつものビクビクを払拭してすがったのは原くん非常に良い手!角番ならではの、無我夢中拳炸裂!

お母さんと黒木先生と天秤にかけ、味方になってくれそうな人にすがり代わりに戦ってもらう。賢い戦法です。

そして「とにかく我が子が意思を示してくれればいい」という成長の土台作りを目標としていたなら、自分の意思を伝えられた原くんはどこに行こうと大成功。そしてお母さんも自分が振り回してきた正義を自覚してきているので、涙もなくどこか安堵している感じがとてもシンパシー。

 

合格発表というナーバスな時期ではありますが、全部が望んだ通りになるのではなく、中学受験をテーマにした小学生の成長譚になってきているのではないでしょうか。

受かって良かった!も、もちろんありますが、より充実した6年間を過ごせそうな結果を出しているところが、サブタイトル「絶対合格の教室」所以なのかな、とも思いました。

あと1巻か2巻で終わりかな。寂しくなりそう。外伝も欲しい。亜蘭くんと真千音ちゃんが結婚して子どもを桜花にいれ、白髪の黒木先生がまだ校長だとか(唐突w)