夏の別れ | まりごんのズボラ日記

まりごんのズボラ日記

まりごんのズボラで怠惰で時に波乱万丈?な日々

 私の仕事のパートナーは鵜(鳥)さんだ。

今年の夏、2羽の鵜さんとの別れを経験した。

 1羽目は、鵜飼の時に逃がしてしまった。それも追い綱という綱が付いたままの状態で。

この綱が付いていると言う事は、鵜の首はしめられたままなので、魚を自力で獲っても、なかなかお腹まで入らない。そして、長い紐が付いているので水中で何かに引っ掛かると水面まで上がることが出来ず溺れてしまうこともある。もちろん捜索はしたけれども結局見つからなかった。

 これは、鵜を使う私のミスだ。最悪の状態で鵜を逃がしてしまったのだ。

 この状態で鵜さんが生きていられることはまず無いと思う。

 本当に申し訳ない最悪のことをしてしまった。


 2羽目は、鵜飼のほぼ終盤の出来事。100日のシーズン中、鵜さんも段々と疲れが出てくる。

そうすると、段々魚を捕らなくなってきたり、サボる子も出てくる。終盤は特に疲れが目立つ。

そんな中でも、頑張ってくれる鵜さんもいる。

観覧船に乗ったお客さんに鵜飼をみてもらうのがこのお仕事。なんとか鵜さんに魚を獲らせたい。

頑張って獲ってくれる鵜さんに私は頼ってしまった。疲れていたのは分かっていたけど、あと一日、もうあと一日と、この鵜さんに「ゴメンね。明日こそはお休みできるから」と言いながら鵜さんを使っていた。

鵜さんが死んでしまう最後の鵜飼が終わった夜。鵜さんは、ぐったりと、しんどそうに止まり木にとまり濡れた羽を乾かそうともしなかった。そんな鵜さんに不安を感じながらも、その日は船頭さんが怪我をしたこともあり病院へ付き添うことになった。


翌日の朝、昨日の鵜さんが気になり早速、鵜小屋に様子を見に行った。鵜小屋の入り口近くで、冷たくなっていた鵜さん。まさか死んでしまうとは・・・・今まで自分のしてきたことが、本当に悔やまれた。

 鵜は、2羽でペアとなって日々を過ごす。常にペアでいるので鵜飼に連れて行くときもこのペアで連れて行く。 

死んでしまった鵜さんの体を洗ってやり、鵜小屋から連れ出そうとした時に、ペアの相方が突然、死んでしまった鵜さんに駆け寄ってきて、鵜の挨拶(お互いの首を絡めるようなしぐさ)をしながら、必死で呼び止めるように鳴き出した。

ごめんなさい。私は、たまらなくなって泣きながら残された鵜さんに謝った。

あなたのパートナーを死なせてしまってごめんなさい。そして、死んでしまった鵜さん。あなたにこんなに頼らなければ仕事が出来なかった私を許してください。


鵜飼が終わって1ヶ月たちました。やっと文章として書き残すことが出来るようになりました。

それでも、来年も私はこの仕事をすると思います。もの言う事が出来ない彼らの気持ちや体調をいちばんわかってやりたいし、そうでなければならないと思います。