淋しい狩人 (新潮文庫)/新潮社

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みなさんこんにちは。

 また来ているようですね。台風。
わざわざ週末に来なくても……西日本の皆様は警戒を強めてまいりましょうね。近所の人たちと普段から挨拶をしておくと、もしものときに意思疎通がとれていいと思いますよ。

 管理人も普段から近所の人には明るく挨拶をするようにしています。
何せ管理人、いまだフルタイムで働けない引きこもりニートなのでもしも犯罪など犯そうものなら「あー、お隣さんはなんだかいつも家にこもっていて昼間からぶらぶら出歩いていて……」と『罪を犯しそうな人でした』とテレビ局にコメントされそうなのです。ですので、挨拶をすることで「え!○○さんが!?いつも元気に挨拶してくれるいい子なんですけどねぇ……」と『そんな人に見えませんでした』コメントをしてほしいのですよね。無駄な努力。

 さて、本日の本は宮部みゆきさん『寂しい狩人』です。

 この本は連作短編のミステリー小説で、東京下町にある田辺書店という昔ながらの古本屋が舞台です。そこの店主のおじいちゃん、イワさんが一応探偵役。こう聞くとビブリア古書堂を思い出してしまいますが、日常のほのぼのミステリーというわけではありません。結構事件自体はひどいものが多いです。

以下ネタばれ感想

①六月は名ばかりの月
 最近結婚式を挙げた奥様の事件。奥さんはある男からストーカー被害にあっており、その男が姉を殺したのではないかという疑いを持っている。結婚式の引き出物のひとつからはあ『歯と爪』という謎の文字が浮かび上がり、前日にその男が結婚式会場に電話をしたことも分かっている。いよいよ犯人かと思われたが……?
 『歯と爪』は苦労する、という意味のことわざだそうですね。これはバリンジャーという人の小説が元ネタになっています。管理人も前に読んでおります。この本も面白いので是非読んでみてくださいね。感想はこちら

②黙って逝った
 一人暮らしをしていた老人がなくなった。その部屋には『旗振りおじさんの日記』という本ばかりがずらりと並んでいる本棚があった。いったい彼はどうしてその本をあつめていたのだろうか。
 ご老人の、「謎のほうが面白いから謎にしておく」という意図で作られた謎はあまり好きではないなぁ……。もちろんそこにいたるプロセスが面白いんだけれど。

③詫びない年月
 古い家に住む老婆が、「家に幽霊が出る」とノイローゼ気味になっているらしい。調べてみたところその家の地中には戦時中に作られた防空壕があり、そこには焼け焦げた遺骨が残っていた。
 おそらくその老婆はその遺骨と生前に顔を合わせており、二人の死になんらかの責任を負っていたものと思われる。しかし誰も彼女を責めることはできない。罪の意識を背負うというのはこういうことなのだという話。

④うそつき喇叭
 イワさんの書店で少年が万引きをした。本のタイトルは『うそつき喇叭』、うそつきの喇叭が周りの楽器や人をだまして甘い汁を吸うという寓意を含んだ大人向けの絵本である。いったいなぜ少年はそのような本を万引きしたのか。
 実は少年は誰かから虐待を受けていた。本を盗んで警察に捕まればそのことが公に露見することを見込んで万引きをはたらいたんですね。頭のいい少年だぜ……。犯人は学校の先生なんだけれども、その理由がまたちょっと分かるんだよなぁ。自分は苦労して英語の勉強をしたのに機会に恵まれずに教師としてくすぶっているのに、このガキは何の苦労もせずに……って思っちゃうっていうね。もちろんそう思っても虐待なんてしたら教師としても人間としても二流なのでしょうけど……。

⑤歪んだ鏡
 由紀子という女性が、電車の網棚の上に忘れられていた『赤ひげ診療譚』という小説を見つけます。本には、昭島司郎という人物の名刺が挟まっていました。その小説を何気なく読んだ彼女はその話に感銘を受け、彼に会ってみたいと思います。
 しかし、その名刺はこの本が好きだからという理由で挟まれたものでもなんでもなく、ただの会社の宣伝のためにはさまれたものでした。なんでも、知人の女がその本を好きだったんだとか。
 そしてその男は会社の同僚と心中して死んでしまいます。せっかく共感できる人を見つけられたと思ったのに……とあきらめかけた由紀子はあることに気づきます。もしかしたら、この本を好きだった知人の女が心中の相手だったのかも。そしてイワさんは自分の店の『赤ひげ診療譚』を、その女性が読んだのかも知れないと思いました。果たして、そこにはその女の名刺が一枚はさまれていました。


あれっ、ここから記事が消えてる……。本は返却してしまったし……。中途半端な感想になっちゃった……。