岐阜県で自営業の実父と継母(この母親との愛情あふれる関係がとても素敵)に育てられ、やがてテレビ等で活躍するまでがつづられている。
今の活躍ぶりからは想像できないが、子どものころの著者は、小学校に入ってもハキハキしている周囲の子たちに馴染めない……、高校受験もプレッシャーに負けて失敗。やがて東京に出てきて舞台やテレビに出るようになっても、誰かにちょっとダメ出しされては落ち込む日々。さらには、ある番組の収録の前日に、どうしてもネタが自分では面白いと思えず、プロデューサーに降板を直談判するような始末……。
書かれていることの8割(たぶん)は、失敗した経験や、自分がダメだったというエピソードばかり。でも、そんな失敗もすべて明るく笑えてしまうのが、本作の面白さであり、筆の巧みさである。
タイトルにあるカニカマとは、高級食材のカニのいわば「モノマネ」食品。「本物の『カニ』の持つ旨味こそありませんが、B級グルメだからこその味わいや、ちょっと情けないテイスト」なのだ。とにかくゆるく読めるのがいい。このエッセイ、読むほどに(噛みしめるほどに)その旨さがしみ出してくるのだ。
同年代は大阪万博が時代の転機だった。バフル世代。
