
笠井一子著
新型コロナ禍によって東京オリンピックは延期となり、バブル化していたインバウンド(訪日外国人旅行)は、突然しぼんでしまった。同時にいわゆる「おもてなし」の見せ場も消失したわけだが、本書は、その日本のおもてなし文化の究極の使徒とでもいうべき仕切りのプロ、「配膳(はいぜん)さん」の世界に光を当てている。
明治の末頃、京都で生まれ、昭和30年代に隆盛した配膳さんの仕事は、実に多岐にわたる。紋付き袴(はかま)のいでたちの配膳さんが任されるのは、主に茶事や冠婚葬祭などでの現場の取り仕切り一切である。器の整えから配席、客席係や仲居の取りまとめ、料理人との連携、配膳。寺の行事、料亭や仕出し料理の宴席を仕切ることも多い。
京都に精通する著者がこの裏方の取材を始めたのは、30年以上前のこと。本書に登場する配膳さんたちは、いまや故人であったり、廃業していたりするが、本書には、古き良き昭和の文化がきっちり記録されている。
たとえば、配膳さんは、千枚からのざぶとんを部屋のスペースや人数に合わせて使いこなした。生地、色、模様を書きとめ、客層や宴の趣旨にそって選び出すのだ。季節に応じた飾り物や掛け軸も調(ととの)える。しかし、なんといっても、本領は、人と人をつなぐ力だ。京都人のこまやかな感性と対峙(たいじ)できるのは、知識と経験に裏打ちされた配膳さんの心配りにほかならない。「客の力関係やその場の状況をいち早く見抜き、的確な判断をしながら臨機応変に対応することが大切なのだ」
著者は、配膳さんのルーツを「南北朝あたりから室町中期にかけて活躍した同朋衆(どうぼうしゅう)」と推察する。同朋衆とは、遁世(とんせい)者に派生し、武家に仕えた「美のプロフェッショナル」。両者には雑役雑事とともに文化的な役割を果たすことなど共通点も多く、その推理は刺激的で興味深い。(平凡社 2420円)
配膳はいろいろな、京都文化のおもてなしの生き字引でもあるのでしょうね。
京都の茶会に参加したおもいで、
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