『四人の交差点』を読んで フィンランドのある家族歴史
トンミ・キンヌネン 著 古市真由美 訳


助産師として強く生きた祖母。写真技師だった奔放な母。子供好きで物づくりに長け、若くして亡くなった父。それぞれの声で語られる喜びと痛みの記憶は、結末でやがて一つの像を結び、ある秘密を照らし出す。北国の歴史と一家の営みが豊かに響きあう、百年の物語。フィンランドでベストセラーとなった「家」をめぐる傑作長篇。
助産師として強く生きた祖母。写真技師だった奔放な母。子供思いで物づくりに長け、若くして亡くなった父。それぞれの声で語られる喜びと痛みの記憶は、結末でやがて一つの像を結び、ある秘密を照らし出す―。北国の歴史と一家の営みが豊かに響きあう、百年の物語。フィンランドでベストセラーとなった、「家」をめぐる長篇小説。ヌオリ・アレクシス賞ほか数々の文学賞を受賞。
これは家を建てる人々の物語だ。彼らが建てようとするのは、煉瓦や木材を積み上げて作り上げていく居場所としての住まいであり、同時に、人生という名の家でもある。物語の中で、ひとつの家系の三世代、四人の主人公が、あるいは家を建て、あるいはそれを受け継ぐが、四人のたどる道のりは、読者の前に容易にはその全貌を現さない。助産師のマリア、その娘で写真技師のラハヤ、ラハヤの息子の妻カーリナ、ラハヤの夫オンニ。それぞれの視点から切り取られた物語が、順に語られ、互いの空白を埋めていくうちに、この家族に何があったのかが少しずつ明らかになっていく。そして、四人の道が一瞬交わる交差点に、すべてのピースが見事にはまり込む結末が待っている。
物語はおよそ百年前のフィンランド北東部から始まる。出産で母子ともに命を落とすことが珍しくなかった時代、若くして助産師の資格を取ったマリアは、多くの赤ん坊を取り上げて周囲の信頼を獲得しながら、未婚のまま娘を産み、女手ひとつで育て上げる。強い女性の代名詞のような彼女が建てる家は、建て増しに次ぐ建て増しを経て、横へ横へと広がっていく。地上での居場所を確保しようとするかのように。一方、のちにマリアの娘の夫となったオンニは、戦争で灰燼に帰した村に、自らの手で高くそびえる家を建てようとする。村のどんな建物よりも高さのある家を欲した彼には、そうせずにいられない理由があった。ふたつの家のいずれにも住むのが、マリアの娘であり、オンニの妻となるラハヤだ。彼女は母親とは違う人生を手に入れようとするが、思うようにはいかない。母の家を出ていくことはできず、夫の建てた家では充足感を得られずに、いくつもある部屋を苛立ちと陰鬱さで満たしてしまう。そんな姑のもとに嫁いだカーリナは、大きいばかりで陰気きわまりない家に新たな風を呼び込もうと、彼女なりの闘いを挑む。しかし、やがて時が経ち、彼女もまたまぎれもなく同じ家族の一員――秘密をけっして口に出さず、大きな家の部屋の奥に隠しておく家族の一員になっていたことが、はっきりとわかる瞬間が訪れるのだ。(訳者のあとがきより)
彼女は生まれてくる赤ん坊たちのために自転車のハンドルを握り、幼い娘や孫たちの手を握り、老いて思うままにならない体でパンケーキを焼くためにコンロの手すりを握る。一生を通して助産師という職業に誇りと喜びを感じ、地に足をつけて心に決めた道を歩む彼女の存在は、自ら築いた家の内外を明るく照らした。
助産婦のマリアは、自転車を調達して少し練習しただけで、初めての自転車で200キロ走って家へ向かった。
自転車とフィンランド 「冬の戦争」では自転車部隊が活躍した。平地が多いのとバイク車両を調達できないフィンランド軍の苦肉の策。

冬の戦争に続く「継続戦争」 孤立無援のフィンランドは対ソ連との戦争の為にドイツと協力することになった。 オンニが参加した戦争がこれだ。 戦場の中で芽生えた恋が・・・。やがてこの物語秘密へとつながっていく。
フィンランドのテレビ番組や名物料理の歴史がつづられ、夏のラップランドに湖での水泳とサウナ。ベリー摘み
。熱いサウナに耐えらないドイツ兵を笑う。
フィンランドならではの家族の物語。
フィンランドのラップランドの冬の森は、とても静かな白い世界です。