トナカイとともに生きる民族のエヴェンキ族の物語『アルグン川の右岸』を読んで | ・・・   旅と映画とB級グルメ と ちょっと本 のブログ

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トナカイとともに生きる民族のエヴェンキ族の物語『アルグン川の右岸』を読んで

 

遅子建著/竹内 良雄、土屋 肇枝 訳

 

トナカイとともに山で生きるエヴェンキ族。民族の灯火が消えようとしている今、最後の酋長の妻が九十年の激動の人生を振り返る。三度の魯迅文学賞受賞作家が詩情豊かに描く傑作長篇。

 

私はエヴェンキ族の女。

我が民族の最後の酋長の妻でもあった。

生まれたのは冬。母はタマラといい、父はリンクといった。

母が私を産んだとき、父は黒熊を一頭仕留めた。

上等の熊の胆(い)を得るため、父は熊が「穴籠り」する木の洞(うろ)を見つけると、シラカバの棒で挑発し、冬眠している熊を怒らせ、そのあと猟銃で撃ち殺した。

熊は怒ると胆汁が激しく流れ、胆に満ち溢れるからだ。

父はその日運が良く、二つのものを得た。

一つは艶々した熊の胆、そして私だった。(本文より)

 

「遅子建は、この作品でエヴェンキ族の盛衰を描いているが、ある対談で、現在、彼らの生存状態を一言で言い表すなら『悲涼(ベイリャン)』だと語っている。悲涼とは、もの悲しいという意味だ(……)。」(「訳者あとがき」より)

 

狩猟と遊牧のエヴェンキ族、百年の物語

エヴェンキ族最後の酋長の妻、90歳の「私」は、仲間が定住地に移住していくのを見ながら、森の中で最後までトナカイと一緒に残ることを決意して、これまでの人生を語り始める。もともと民族はバイカル湖周辺に住んでいたが、ロシア軍が侵攻してきたため、アルグン川の右岸に渡る。そこは当時、清国だったが、やがて中華民国となる。そして日本軍の対ソ連前線基地となり、男たちは軍事訓練を受けるが、日本軍は敗退していく。やがて中華人民共和国の内モンゴル自治区に変わり、社会主義体制のもと、政府は医療の改善と教育の充実、また動物保護を名目にして定住生活を推し進める。だが彼らのトナカイとの共存共栄の生活が理解されず、狩猟民としての生活が破壊されていく。都市での定住生活に適合もできず、将来を見出だせない狩猟エヴェンキ族。民族は徐々に衰亡し、やがて絶滅してしまうのではないか、と危惧する……。(白水社書籍紹介より)

 

アルグン川とは

ユーラシア大陸の北東部を流れる川で、シルカ川とならぶアムール川の大きな源流の一つである。アルグン川というロシア語名は、ブリヤート語の「ウルゲン・ゴル」(Urgengol, 「広い川」)に由来する。

 

トナカイは

 私はこれまでトナカイほど性質が穏やかで我慢強い動物に出会ったことがない。体は大きいが、とても敏捷だ。非常に重い荷物を背負って山を行き、沼沢を越えるが、彼らにとっては朝飯前だ。体全部が宝で、毛皮は寒さに強く、鹿耳、鹿筋、鹿鞭、鹿心血、鹿胎はアンダが一番手に入れたい貴重で高価な薬材となり、私たちの生活用品と交換することができる。ミルクは早朝に私たちの体に取り入れるもっとも甘い清らかな泉水だ。狩のときは、狩人のよい助っ人で、捕らえられた獲物をその背に乗せれば、トナカイはひとりで確実に宿営地まで運ぶ。移動のときには、私たちの日用品を背負うだけではなく、婦人、子ども、体の弱い年寄りものせるが、その世話に余計な人手を必要しない。食べ物もいつも自分で探す。森が彼らの穀物貯蔵倉庫なのだ。苔やハナゴケを食べるほか、春には青草やツクシやキナグサなどを食べる。夏はシラカバやヤナギの葉をたべる。秋になれば、美味しい林のきのこが一番の好物となる。彼らは食べ物を大切にし、草場を通るときは、進みながら少しだけ青草を食む。だから、草場はいつも損なわれることもなく、緑が必要なところには緑が残る。シラカバやヤナギを食べるときも、二、三度食むととめるので、その木は依然として葉が茂っている。のどが渇くと夏は川の水を飲むし、冬には雪を食べる。彼らの首に鈴をつけておきば、どこに行っても心配ない。オオカミもその音に驚いて逃げていくはずだ。風に乗ってくる鈴の音で彼らがどこにいるのかもわかる。 (本文より)

 

民族が徐々に衰退し、絶滅へ向かうときの悲しみ。民族の誇り捨てることができない。酋長の妻は、わずかなトナカイと甥っ子一人と山に残ります。酋長の妻の希望だった、孫娘イレーナが部族で初めて北京の美術へ入学。画家として成功へと向かうかと思われたとき・・・・・、中国の少数民族の物語。

 

トナカイを見たことあるよ。オーロラを見にラップランド イリナ湖へ出かけたときに。馬をちょっと小さくしたぐらいの大きさ。

 

ヘルシンキで食べた トナカイ料理 鹿肉と同じ感じだね。ベリーソースが甘くて美味しいね。