お正月だよ、善因善果! | 笛吹きの備忘録

笛吹きの備忘録

おばあさんのモノワスレ対策ブログです。
アマチュア楽団でフルートを吹いています。
お芝居が大好き!

今年の初観劇は新国立劇場です。

でも、オペラやバレエではありませぬ。国立劇場のお正月恒例、菊五郎劇団の初春公演です。
国立劇場が閉館して、新しく建て替えるまでは、あちらこちらの劇場を借りての公演なのね。
…で、新国立劇場だったのですよ。

オペラパレスじゃなくて、中劇場のほうね。

 
新国立劇場の広いロビーが歌舞伎っぽく変身してましたよ。
 
松の廊下に見立てた写真スポットもありました♪
 

中劇場は、ミュージカルやストレートプレイを上演するためのホールなので、歌舞伎のための舞台機構を備えてません。

だから、花道はこんな感じ…。
揚げ幕を出て5~6歩で直角に曲がり、舞台に向かいます。スッポン(怪しい役がひゅーと出てくる穴)もないです。
廻り舞台もないので、暗転で場面転換するのではなくて、毎回、幕がひかれます。観客は、装置をセットする音を(大道具さんの掛け声も)聞きながら、次の幕を待つのですが、それは、それで、ワクワク感が増して、楽しかったですよ。
 
でも、やっぱり歌舞伎のための劇場が待たれます。建て替え計画がサクサク進んでほしいーーー。
 
さて、演目は「彦山権現誓助剣(ひこさんごんげんちかいのすけだち)」でした。
父親の仇討ちをするお園さん(とても強い)と、彼女を助ける毛谷村の六助さん(親孝行でメチャクチャ力持ち)のお話です。(詳しいあらすじはググってね)
 
中村時蔵さんが、強くて可愛いお園さんをのびのび演じてました。
昨年暮れ「歌舞伎NEXT」で、激しく感情表現する時蔵さんを見てしまったので、背筋をシャンと伸ばして外股で歩いていても、ちっとも驚きませんでしたよ。儚げなお姫さまや、堪え忍ぶ女房だけの役者さんじゃなかったのね。
槍を素手でハッシと止めちゃうし、鎖鎌をぐるんぐるん回しちゃうし、アクティブで、とっても素敵なお園さんでした。
 
それから彦三郎さんの内匠が「ワル!」でしたねぇ…。
まぁ、憎ったらしいこと! でも、なんかとっても清潔な感じがするのね。育ちのいい悪いヤツというのか…。
どうせ最後は討たれるって分かってるので、好きにやってちょうだい、許しちゃうわよって、温かい目で見ちゃいましたよ。
 
一番の見所は、このお二人の立ち廻りですね。瓢箪のなってる棚を登ったり、飛び降りたり、圧巻でした。もう一度、見たい!
 
主役は菊之助さん演じる、心やさしく力持ちの六助です。
「思いやり」が歩いてるみたいな役で、良いことをすれば、良い結果につながるというお話のテーマを納得させる六助さんでした。でもね、お園さん、内匠ほどは、派手な場面があまりなくて、ちょっと残念だったかな…。
発端で、剣術八重垣流師範の吉岡一味斎(お園さんの父親で、内匠に暗殺される)が、六助のお人柄を見込んで、奥義の書かれた巻物を伝授し、後継ぎ指名とお園さんとの結婚を約束するのね。
つまり、六助は師範と猛稽古したのではなくて、巻物を勉強して剣の達人になった。(空手の通信教育みたいに…) だから、派手な殺陣の場面があまりなかったのかな…なんて、ひねくれ解釈をしても、六助さんは明るく笑って受け流しそう…。
 
他にも、孫世代が、もう子役じゃなくて、若武者で登場して、菊五郎さんニコニコが止まらずの場とか、お正月らしい楽しい演目ですよ。
 
そして、お正月公演では恒例の手ぬぐい撒きもありました。もちろん!ゲットしましたよ。