渋谷のPARCO劇場で『チョコレートドーナツ』を観てきました。
東山紀之さんの最後のステージになるというお芝居です。
7月にチケットの先行抽選を申し込んだときには、そんなこと思いもしてませんでしたよ。
原作は、2012年公開のハリウッド映画(原題は『ANY DAY NOW』)です。
それを宮本亜門さんが舞台化しました。世界初!なのですよ。
2020年の初演では、出演者がコロナウイルスに感染して開幕が延期になりました。今回の再演でも、ジャニーズ問題の余波(?)で、上演中止に!という声があったようですね…。
1970~80年代、「LGBTQ+」という言葉がまだなかった時代、ドラァグクイーンと検察官(カミングアウトしてない)のゲイカップル(世間的には、いとこだと偽っている)が、麻薬常習者の母親に捨てられたダウン症の少年を、家族として引き取り育てたいと、法廷で争う物語です。
幕がサッと引かれて、華やかなショーパブの場面になり、またサッと引かれて、地味~な法廷の場面になります。
明暗交互の場面転換なのですが、キラキラしてるダンサーであっても社会からは「バケモノ」と罵られる存在であり、普通の服装で臨んだ法廷でも、偏見が法の下での平等を危うくします。
そう、どっちの場面でも内容は暗いのよ…。
ちっとも救われる場面がない…。
かろうじて、ダウン症の少年マルコがホワッと登場して、ユルユルふわふわっと場を和ませます。
でも、それはとても淡い…。
ハッピーエンドのお話をしてほしいと、マルコは願います。
でも、彼の短い人生は悲しい終わり方をするのです。
何? これ? もっと楽しい、心あたたまる物語じゃなかったの?
と、ボーゼンとなりましたよ…。
そして、理解しました。
世界をハッピーエンドに導くのは、お芝居ではないってことを…。
私たちは、現実世界でハッピーエンドを目指さなきゃいけないのよね。
東山社長も…。