女形の芸と女優の演技のコラボだと思った件 | 笛吹きの備忘録

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おばあさんのモノワスレ対策ブログです。
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錦秋十月大歌舞伎昼の部を観てきました。

寺島しのぶサンの初歌舞伎座です。


笑いました! 泣きました!
山田洋次監督の脚本・演出で、歌舞伎座がすっかり寅さんの世界になってましたよ。
役者さんたちも、実は喜劇が本職だったんじゃないかしらと思うくらい、生き生きと演じてるし、笑いをとる間も完璧でした🎵

『文七元結』って、三遊亭圓朝の落語なんですね。ググったら、サゲ(オチ?)のない人情噺で、落語家さんはそれぞれ個性的なサゲを考えているとありました。
山田洋次さんの考えたサゲは…、ネタバレになるので書きませぬ。
歌舞伎ですから、終幕にはちゃ~んと神々しいまでの見栄(これ、ちょっとだけサゲのヒントです)がありましたよ。
そして観客は温かいものを心に抱いて、ニコニコしながら歌舞伎座を出て行くのです。
『男はつらいよ』を見終わって映画館を出るときみたいにね!

ところで、寺島しのぶサンですが、とっても地味でした…。バリバリ元気な長屋のおかみさんを演じているはずが、なんか…おとなしいというか、弱々しい感じがするんです。
どうもね、声に原因があるような…。
どんなにドスをきかせても、女声は男声よりもキーが高いから、女形が演じる長屋のおかみさんたちに混じってのお喋りでも、しのぶサンの声が細く浮いて聞こえるんです。

娘のお久を演じた玉太郎さんの声よりも、しのぶサンの声のほうが可愛らしく聞こえちゃうのよね…。
そのための演出かどうか分かりませんが、玉太郎さんの台詞が少なかったです。
とっても無口で健気なお久ちゃんでした。

そして、そのお久ちゃんを抱きしめるしのぶサンは、間違いなくお母さんでした。
そこだけ、とってもリアルなんです。

気っ風のいい女将を演じる、孝太郎さんの女形の芸をたっぷり味わったあとに、しんみりと女優さんのリアルな演技…、こういう歌舞伎もアリだと思いました。