東京芸術劇場でミュージカル『GYPSY』を観てきました。
ジプシー・ローズ・リーという実在のストリップアーティストの回顧録が原作で、彼女とその妹をスターに育てることに奔走する母親を大竹しのぶさんが演じます。
1959年にブロードウェイで初演、その後、何度も再演され、その度にトニー賞やグラミー賞を受賞しており、定番の名作ミュージカルなんですね。
日本では、1991年に鳳蘭さん、宮沢りえさんで上演されています。32年前…、記憶ないです…。
1920年代のアメリカ、ショービジネスの世界で成功を夢見る母と娘は、ボードビルショーの一座を組んで、地方の劇場のオーディションを受け、採用され、好評を得て、さらに大きな劇場へと進出するものの、時代の流れを読みきれず挫折、どん底からの起死回生なるか…、という物語ですが、しのぶママは常に前向き、ライバルを蹴散らし、逆境にも弱音なんぞ吐きませぬ。そして絶対に!娘を放しませぬ…。
しかし、ついに成功をおさめた娘から、しのぶママは拒否されてしまいます。
娘をスターにするためには、自分の幸せを犠牲にすることも厭わなかった母親が、その人生を、当の娘から否定されるのです。
そこで歌われるのが『ローズの出番』です。
本当は自分がスターになりたかったと告白し、そうするには、生まれてくるのが早すぎ、始めるのが遅すぎたと歌います。
娘のための人生だったかもしれないけど、私の人生でもあった、自分の夢を娘に託し、共に夢見て生きてきたことの何が悪いのよ(という歌詞ではありませんでしたが…)と、しのぶママは力強く歌い上げるのです。
母と娘は和解、娘に優しく抱かれて退場する最後の最後、チラッと振り向いて可愛く笑うしのぶママのチャーミングなこと!
私も、かくありたい!