お坊さんのお仕事 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

「売れない芸人」という表現があるように、芸人の仕事が少なくて食べるためにアルバイトをしていたりすると、どちらが本業だか分からないなどと揶揄される訳だけれど、たとえ芸人としての仕事をしない日であっても、一所懸命、芸のことを考えたり、稽古したりしているのであれば、その人は掛け値なしに芸人さんなのだと思う。

 

お坊さんも同じことで、「お寺で働く」という形のお仕事が少なくても、しっかりと精進して日々修行していれば、その人は立派にお坊さんだと言えるだろう。

 

昔、まだ小僧だった時分に、大長老格の老僧に趣味を尋ねられて、恐れ多くも「仏教です」などと答えてしまい、人に聞かれたら笑われるぞと叱られたことがあったのだが、私の気持ちに嘘はなかった。

 

今もその気持ちに変わりはない。趣味は仏教で、仏教に付随したあれこれを考えるのが好きで、趣味が高じて本職になった。本当のお坊さんになった今も、他のお坊さんの話を聞いたり、いろんなお寺をお参りするのが好きだ。そして他のお寺を参りしたならば、必ずそこから何かしら学ぶことがあるという意味で、すべては芸の肥やしだと思う。

 

さて、小僧修行と本山での修行を終えた後、あるお寺でお参りに来た小さな子供と出会ったことがある。子供でも「お坊さん」という言葉が分かるのだろうかと思った私が、試しに「一休さんって知っていますか?」と聞いたら、「知っています」と言うので、重ねて「一休さんのお仕事は何だと思いますか?」と聞いてみたら、その子供がしばらく考えて、「落ち葉掃除」と答えてくれた。

 

確かに確かに、それもこれも、みんな大事なお坊さんのお仕事なのだと思う。

 

 

                        おしまい。

 

 

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