タイやインドでの修行を終えて日本に帰国した西暦2000年前後のことだったか、とある日本人上座部僧の方が「ブッダの瞑想法はこんなに簡単です」という冊子を私に下さった。スマナサーラ長老の名も日本テーラワーダ仏教協会の活動も、今日ほどにはまだ知られていなかった頃のことだ。
自分がアジアで学んで来たヴィパッサナ瞑想やテーラワーダ仏教の考えが、実に分かりやすい日本語で簡潔に書かれていて、とても参考になったのを覚えている。
何冊でも法施として無料配布すると書かれていたので、いくばくかのお布施を納めては数冊を送って頂き、日本のお寺で参拝者にお勧めしたりしたものだ。
その後、テーラワーダ仏教協会はだんだんと世に知られるようになり、他の出版社からスマナサーラ長老の本もたくさん発行され出したが、私はそんなに多くのご著書を読んではいないので、「ブッダの瞑想法はこんなに簡単です」に準じた内容の書籍が、今も出ているのかどうかは寡聞にして知らない。
ただ、今でこそ、私はそこに書かれたラベリング式(例えば歩いている時は「歩いている、歩いている」という風に、一挙手一投足の行動を逐一、言語化して気づきを得る)瞑想法は行わず、プッタタート比丘の解説に基づいたアーナパーナ・サティを主として修行させて頂いているとは言え、アジアで学んだことを日本のお寺で生かしながら修行するという原点に立ち返るべく、「ブッダの瞑想法はこんなに簡単です」を、今も時折り読み返している。
※「ホームページアジアのお坊さん本編」もご覧ください。