法要のことを英語で何と言いますか? | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

インドのブッダガヤにある印度山日本寺に駐在中、当時は日本から予約をした巡礼団体だけが日本寺の宿坊に宿泊できたので、その宿泊予約の人数を、日本寺事務所のボードに記載することになっていた。

 

そして、例えば20人の団体だったとしたら、そのことを「20pax.」という風に表記していたのだが、この「PAX」が何の略なのか、長い間、調べることもなく「persons」の略なのだろうかくらいに思っていたのだが、先日、ふと気になって調べてみて、「passangers」を略した旅行業界用語だということを初めて知った。

 

さて、仏教英語に関しては、時々、「得度」「在家」「安居」「宿坊」といった言葉を英語で何と言うのだろうか? みたいな記事を書かせて頂いたりしているが、最近、とあるお寺の若い職員さんに、「法要」のことを英語で何と言うのかと質問されたことがある。

 

カタコトの日本語を話す外国人参拝客に対して「法要」のことを説明するのに、こちらもカタコトの英語で「festival」と言ってしまったんですがと言うので、「festival」は祝祭的なお祭りのイメージだから、もしも自分の知っている単語で対応しようとするならば、せめて「ceremony」くらいの方が良かったのでは? と答えておいた。

 

本当は「service」という英語の方が適切なのだけれど、これを一から説明しようとすると大変なのでやめておいたのだが、ちなみに「法要」だけでなく、「勤行」を表す英語としては、「service」と並んで「chanting」が使われることが多い。

 

タイ在住の日本人比丘であるプラ・落合・マハ-プンニョ師の「テーラワーダ仏教の出家作法」には「朝課」「夕課」という日本語と共に「DAILY CHANTING」という言葉が使われているし、私が持っているタイで発行された英文のパーリ勤行儀には「MORNING & EVENING CHANTING」という言葉が使われているが、天台宗ニューヨーク別院の聞真・ポール・ネエモン師の英文による天台宗勤行儀は「TENDAI BUDDHIST SERVICES」と題されており、朝勤行夕勤行に関しても「Moring & Evening Service」という言葉が使われている。

 

「service」も「chanting」も勤行を表す仏教英語としてはお馴染みの単語で、「礼拝」を表す「worship」という言葉と共に英文仏教書などではよく見かける言葉だが、「chanting」 という言葉には「読経」のニュアンスもあり、年忌法要を「memorial service」と言ったりもするので、「service」という言葉には、より「法要」のニュアンスが特に強いように思う。

 

 

                 おしまい。

 

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