鵺塚でのお礼参り | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

大阪の都島にある鵺塚は、妖怪「鵺」が京都で退治された後に淀川に流され、難波に流れ着いた所を祀った跡だという。

 

お坊さんになりたいと思ったものの、諸般の事情がなかなかそれを許してくれず、関西近郊の伝説や昔話にまつわる土地を、地図を片手に巡り歩いていた頃のことだ。

 

鵺塚を探して都島の商店街で道を尋ねると、「こういうことを調べておられるんですか?」と地元のおばさんに聞かれ、伝説を研究するような研究や仕事もあり得るんだなと思い至り、一旦は進学して神話伝説などを研究することで周囲を納得させ、それから後にお坊さんになろうと、ぼんやり思ったものだ。

 

今回、何十年かぶりでこの地を訪れてみたら、やっぱり道が複雑で分からないばかりか、今度は近所の人に聞いても誰も知らない。ようやく商店街入り口のおかずやさんに聞いたらご存じだったので、誰に聞いても分かりませんでしたと伝えると、笑って喜んで下さった。

 

ようやくたどり着いた鵺塚にて短いお経を上げた。お蔭さまでその後お坊さんになれました、昔話や伝説の世界に住みたいと思って試行錯誤していたことを思うと、有難い限りですという思いを込めて。

 

                おしまい。

 

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