円・密・禅・戒・念(浄土)を併修する天台宗では、法華経を中心に浄土経典や密教経典も多用するし、日常勤行や修法以外の教学においても、さらに様々な仏教経典を所依の経典とする。
そんな中で、日常よく使う勤行次第において、華厳経からの引用がしばしば登場することを、以前から興味深く感じていた。
朝題目に夕念仏と言われるように、法華経を中心とした「法華懺法」と浄土経典の阿弥陀経を中心にした「例時作法」が、天台宗の勤行の二本柱だが、「法華懺法」における「総礼伽陀」「三礼」「後夜偈」「九条錫杖」の出典は華厳経であり、「例時作法」にも「総礼伽陀」「三礼」「後夜偈」の3つが含まれている。
また、勤行儀ではないけれど、食事の時に唱える「斎食儀(食事作法)」中の「展鉢偈」「受食偈」「正食偈」「食訖偈」の出典も、みな華厳経だ。
さらに小経を中心とした日常勤行儀で頻繁に使用する「懺悔文」の出典も華厳経なので、毎日お経を上げながらそのことに思いを馳せると、ちょっと嬉しくなる。
おしまい。
(タイの夜店で見つけた一休さんの手作りおもちゃです)
「我昔諸造諸悪業 皆由無始貪瞋痴 従身口意之所生 一切我今皆懺悔」
(がしゃくしょぞうしゃくごう かいゆむしとんじんち じゅうしんぐいししょしょう いっさいがこんかいさんげ)
「我、昔より造りしところの諸々の悪業は、皆、無始の貪瞋痴による身口意より生ずる所なり。一切を我、今みな懺悔す」
※「ホームページ アジアのお坊さん 本編」もご覧ください。