最古の仏典「スッタニパータ」中の「吉祥経」(岩波文庫では「こよなき幸せ」と訳されている)は、同じ「スッタニパータ」に含まれている「慈経」や「宝経」と並んで、テーラワーダ仏教では日常よく唱えられているお経だ。
さて、私が日頃よく読ませて頂いている方のブログに、「吉祥経」のパーリ語原典はよく目にするのに、漢訳のテキストがなかなか探せないということが書かれていた。
私は僧侶ではあるけれど、仏教大学や仏教学科を出ていないので、仏教学や文献学の知識はほとんどない。お寺で教えて頂いたこと以外は、興味や好奇心で独学したことが自分の知識の基になっている。
だから、吉祥経のパーリ語原典である「mangala sutta」のことはタイで修行させて頂いた経験から知っているけれど、その方のブログを読むまでは、漢訳「吉祥経」についての知識が何もなかった。
「スッタニパータ」全編の漢訳経典というものは無かったはずだと思って調べてみると、「法句経譬喩経(ほっくひゆきょう)」という、どちらかと言えば「ダンマパダ」に近い漢訳仏典に「吉祥品」が含まれていることが分かった。
図書館に行く暇がなく、たまたま大型書店の近くを通ったので調べてみたら、大蔵出版の「新国訳大蔵経 インド撰述部 本縁部 5 法句経譬喩経」に「吉祥品」の漢文が載っていた。
注釈に「sn.(スッタニパータ)の文に似る」といった意味のことが書いてあるし、実際にざっと読んだところも、パーリ語の「吉祥経 mangala sutta」の内容によく似てはいるものの、図書館の本ではないから借りることもコピーすることもできず、細かく異同をチェックできなかったし、漢文をここに書き写すこともできない。
申し訳ありませんが、とりあえず今回の調査はここまでとさせて頂きますのでご容赦くださいませ。
おしまい。
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