円密一致の話 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

先日、天台密教の四度加行行記の内の金剛界行記に「四無量心観」が出て来るという話を書いたが、さて、天台宗の教師手帳や布教手帳には「円密一致」という項があって、中国の天台宗になかった密教を伝教大師が取り入れたことによって、密教を教理上、どう位置づけるかの問題が出たが、止観と真言の趣旨は一つであり、円(法華一乗を中心とした密教以外の大乗仏教)と密(密教)は一致するというのが台密(天台密教)の基調であると書いてある。

 

天台の四度加行の内の護摩供行記には、心経・四諦・十二因縁・六波羅蜜を唱える箇所があり、四諦・十二因縁の部分は(密教でない大乗仏教の)法華経の本文(化城喩品)をそのまま引用してある。

 

ちなみに四度行記に付されている諸天善神への供養方法「廣野神供作法」の中でも四諦・十二因縁のことを「知苦・断集・証滅・修道、十二縁生・十二縁滅」という端的な表現で唱えることになっている。

 

また、密教の光明供を応用した葬送作法である、光明供葬送作法の法則には、「毘盧遮那如来」「阿弥陀如来」という風に密教と浄土念仏の教えが併称され、「光明真言の功力と瑜伽三密の教えに過ぎたるは無し」という文句の後に「誠に是れ 唯仏与仏の境界」という風に法華経の真髄とされる方便品の「十如是」の一句が引用されている。

 

台密の教えが私は好きだ。

 

                  おしまい。

 

「ホームページ アジアのお坊さん 本編」も是非ご覧ください。