今時のことだから、遍路や巡礼にも向くようなデザインでありながら、なおかつ高性能なウォーキング機能も有するような靴、という物があるかと思って、まず法衣屋さんのカタログを何冊か見たところ、「巡礼用品」「修験用品」の項に載っている履き物はすべて「地下足袋」だった。
インターネットで見てみたら、想像していたような白いスニーカータイプの物はいくつかあったが、アウトドアグッズ並みの高性能なタイプではないようで、他には足袋が履けるように靴のつま先が二つに分かれている白い靴、という商品が変わっているくらいだった。
私事ながら、自分が四国八十八ケ所を歩いて行脚巡礼した最初の頃は、出会ったお坊さんが靴履きだったりすると違和感を感じたものだった。自分自身は型どおり托鉢姿で草鞋(わらじ)を履いていたのだが、形ばかりで慣れていなかったこともあってか、すぐに草鞋が駄目になるので、途中で地下足袋(じかたび)に切り替えた。
ちなみに、比叡山の回峰行者さんたちは必ず草鞋を履いているが、同じく天台宗で10年に一度行われる、国東半島の六郷満山の峯入りにおける行者さんたちの足元は白の地下足袋だ。
今となっては、靴という物が如何に機能的で足に負担を掛けない、歩くのに適した履き物であるかがよく分かるようになったので、もしや素晴らしい巡礼靴が開発されているかと思ったのだけれど、そんな商品はまだこの世にはないようだ。
おしまい。
※「アジアのお坊さん」本編もご覧ください!!