「地球の歩き方 インド」には大昔から岩波文庫の「ブッダのことば」が引用されているので、インドを巡ったバックパッカーの方の中には、この本に手を伸ばしたことのある方も多いだろう。
そう言えばある仏教学者の方が、パーリ仏典の「長老尼偈」を岩波文庫で「尼僧の告白」と題したのは商業的に上手い訳だと仰っているのを聞いたことがあるが、岩波の原始仏典シリーズの邦題はどれも上手だ。
スッタニパータが「ブッダのことば」、ダンマパダが「真理のことば」、テーラガーターが「仏弟子の告白」、テーリガーター(長老尼偈)が「尼僧の告白」、マハパリニッバーナ経(大般涅槃経)が「ブッダ 最後の旅」。
三橋ヴィプラティッサ比丘が「観息正念」のあとがきに、岩波のこの5冊は必読の金口の説法だと書いておられたのもむべなるかなで、読むたびにブッダの教えが身に染むようだ。
正に光明遍照 十方世界 念仏衆生 摂取不捨、私は大乗仏教徒としてブッダ釈迦牟尼如来以外の仏像を拝する時も、大乗仏典を読誦する時も、お寺の所作における様々な偈文を唱える時も、或いは日常生活の何気ない場面においても、常にブッダの教えがそこに介在しているのを、身近に感じるような気がしている。
これは本当に有り難いことで、だからこそ天台宗ではブッダを拝する時に「南無大恩教主釈迦牟尼如来」と唱えるのだろうと思う。
おしまい。
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