三たび、四摂法の話 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

四摂法(ししょうぼう)のことを何度も書いているけれど、近頃、ますますこの仏教語をよく目にする気がするので、また改めて書かせて頂くことにする。
 
簡潔な上に、テーラワーダ仏教と大乗仏教の両方に共通して重視される四摂法(四摂事とも言う)という4つの徳目は、法華経の提婆達多品にも出て来るし、道元禅師も四摂法を説いておられるから曹洞宗でも重視されている。
 
天台宗では、数年前から進めている「こども発心会」の中で四摂法を唱えることになっているのだが、その勤行式による四摂法の子ども向けの意訳は以下の通りだ。
 
布施 欲張らず相手に与えます
愛語 優しい言葉で話しかけます
利行 相手のために行動します
同事 思いやりの心で一緒に行います
 
テーラワーダ仏教ではどう解説しているかと言うと、「ポー・オー・パユットー仏教辞典(仏法篇)」(発行・サンガ)には以下のように書いてある。
 
布施(dāna) 分かち合うこと。
愛語(piya-vācā) 優しい言葉、気に入る言葉、心に訴える言葉。
利行(attha-cariyā) 相手を利益する、為になる行為。
同事(samānattatā) 平等に接すること。
(ちなみに wikipedia の「四摂法」の項には、参考文献として「ポー・オー・パユットー仏教辞典」が、そのまま挙げられている。)
 
「同事」は、子供向けの「思いやりの心で一緒に行います」という解説では「利行」との違いがちょっと分かり難いが(日本仏教の辞書や解説書でもこれに似た説明が多い)、要はパユットー師の言う如く、「平等に接すること」という意味で、「利行」とはまた別の、そして大事な概念だ。  
      
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※画像は「こども発心会」のポスターです。
                           
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