一隅を照らす中村哲医師の話 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

アフガニスタンで中村哲医師が亡くなられた報道に際して、医師が伝教大師最澄の「一隅を照らす」という言葉をよく口にしておられたということを、初めて知った。

 

私は自分で天台宗という宗派を選んで僧侶になったにも関わらず、当初、この一隅を照らすという言葉に一抹の違和感を感じていた。

 

宗祖のお言葉である「照于一隅」を疑う気持ちは微塵もないが、「一隅を照らす」という書き下し言葉を布教活動の中心に据えることに対して、修行中、この活動を実際にお始めになった長臈・ご老僧方の薫陶も受けておきながら、心中秘かにそんな失礼なことを感じていた。

 

けれど、この度、中村氏の座右の銘が「一隅を照らす」だったことを知り、ああ、一隅を照らすとは正にこういうことだったのかと、長年の違和感や疑問が氷解した。

 

慎んで中村医師のご冥福をお祈りいたします。

                    合掌

 

 

※「天台宗 一隅を照らす運動」ホームページ

 

※ホームページ「アジアのお坊さん 本編」