岐阜の仙厓和尚ゆかりの地に関する覚え書き | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

 

岐阜の霊場が研究対象としても、行場としても大変興味深くて、近頃、ご法務の合間に足繁く訪ねさせて頂いていたら、その通り道で、「仙厓和尚生誕の地」という標識を見つけた。出光美術館の仙厓カレンダーを毎年、人から頂いておきながら、少しも気づかなかったのだが、仙厓和尚は岐阜県関市武芸川町の生まれであったそうだ。そこで今回は、短い所要時間の中で、仙厓和尚に関する場所だけを訪れることにした。

 

先ずは仙厓和尚の生誕地である永昌寺(上の画像)。その後、武芸川ふるさと館に少し展示されている仙厓作品を拝観し、さらに美濃市に移動して、仙厓が出家得度した清泰寺を参拝させて頂いた(下の画像)。

これらの場所に関しては、同じように仙厓ゆかりの地巡りをされている方のブログなどがたくさんあるので、詳しくはそちらに譲るとして、私が気になったことを今後の宿題のために、ここにメモさせて頂くことにする。

 

・最初に訪れた永昌寺は台湾33ケ所観音巡礼の発起寺であるとのことだった。帰って調べてみたら、私が全然覚えていなかっただけで、台湾札所に関する日本語の本も、このお寺が監修されているものだった。

⇒以前、「アジアの御朱印」というタイトルで、この本を称しておきながら、迂闊にも気づかなかった。

 

 

・円空仏で有名な円空生誕に関しては、諸説あるものの岐阜羽島説が有力だが、前回、訪れさせて頂いた関市美並町の粥川寺には、円空が粥川寺近くで生誕、及び得度したとの伝承が残っており、そしてそこは仙厓生誕の場所のすぐ近くだ。円空の没後50年ほどして生まれた仙厓に、地元ゆかりの円空から、何らかの影響はなかったのだろうか。

 

・泉鏡花の「春昼」「春昼後刻」、及びそれを原作とした鈴木清順の映画「陽炎座」に出て来る「○△□」は、仙厓の有名な禅画と、どのような関係があるのだろうか?

(武芸川ふるさと館には、往年の出光美術館仙厓カレンダーがたくさん掲げられていたので、そのカレンダーから、上の画像を撮らせて頂いた)

 

以上のようなことを、今後の課題としてみたいのだけれど、取り敢えず岐阜、特に美濃地方の霊場にはまだまだ大変興味深い所が多く、近い内にもう一度くらいは訪れてみようと思う。

 

 

※「旅行人」2006年春号に掲載して頂いた「バックパッカーのためのアジアお坊さん入門」を大幅加筆し、2019年に全面的にリニューアルした「ホームページ アジアのお坊さん 本編」も是非ご覧ください。