中国仏教に関するニュースあれこれ | アジアのお坊さん 番外編

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中国仏教協会会長の学誠法師が尼僧複数に対する宜しからぬ行いの容疑で政府の調査を受けたというニュースが報じられた。

学誠法師と言えば、昨年末に日本の天台宗の代表団が中国の天台山の記念法要に出席した時に、その式典に参列しておられた様子が「天台ジャーナル」にも掲載されていた方だ。

このニュースに関しては、学誠法師や師が住持を務める寺院の側からの反論もインターネットには出ているので予断を許さないが、とりあえずこの機会に、私の手元の資料の内の、中国仏教に関する物を、以下に少し羅列してみることにする。

・2006年6月の朝日新聞に、中国の福建省で116歳の僧侶が、3年前に遺言通りの特別な処置を施して瓶の中に葬られたという記事が載っていた。3年後に開けてみたら、生前と変わらぬ姿の遺体があったので、「肉身和尚」と呼ばれたそうだ。

・次の記事は、新聞で確認できなかったので、やむを得ずインターネットのニュースをコピーしたものだ。
北京AFP=時事】中国で、16年間逃走していた殺人事件の容疑者が、仏教寺院で僧侶として暮らし、寺院の院長にも選ばれていたという。国営メディアが31日、伝えた。
国営紙・新京報によると、張立偉容疑者は、共犯者らとともに2000年に北東部・黒竜江省で3人を刃物で刺して殺害した容疑で、今月初めに警察当局に身柄を拘束された。
張容疑者は3人を殺害後、2000キロ近く南の安徽省に逃走し、名前を変え、寺の料理人とチケット販売業者として生計を立てていたという。その後、同省鳳陽県にある寺院で僧侶となった。
地方政府の機関の一つである政治協商会議の委員になった張容疑者は2年前、他の僧侶たちから院長に指名された。
 
張容疑者の身元は、同容疑者が海外へ渡航するためにパスポートを申請した際、指紋が指名手配者のものと一致したことで判明した。
新京報によると張容疑者は寺院の生活環境の改善や建物の修繕に尽力し、僧侶たちから高く評価されていた。また同容疑者は最近、孤児2人を経済的に支援していたという。
しかし報道によると、近隣に住むある尼僧は動揺することなく「仏陀(ぶっだ)は我々に罪を深く悔いるよう説いている」と語り、「自分でしたことを心から後悔していたのなら、彼は自首すべきだった」と述べたという。
【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2016/09/01-12:17)

・次が学誠法師の今回の事件。やはり新聞記事ではなく、インターネット記事のコピーだ。
【AFP=時事】中国家宗教事務局は2日、有名な仏教寺院の住職で、中国共産党の諮問機関の委員も務める僧侶が複数の尼僧らに対し性行為を強要していたとする告発を受けて、調査を開始したと発表した。この疑惑は、中国におけるセクハラ告発運動「MeToo(私も)」の一つとして注目を集めている。

調査対象となっているのは、首都北京郊外にある龍泉寺(Longquan Monastery)の学誠(Xuecheng)住職。疑惑が明るみに出たのは、今週インターネット上に浮上した僧侶2人が書いた95ページにわたる文書がきっかけだった。

この中で僧侶らは、龍泉寺の財政難を訴えるとともに、学誠住職が女性少なくとも6人に宛てて、性交渉を持つよう誘惑または脅迫する不適切なテキストメッセージを送ったと指摘。うち4人が住職の求めに応じたという。さらに住職は、自分との性行為は仏教研究の一環だと言い聞かせ、女性らの「マインドコントロール」を図ったとしている。
これに対し龍泉寺は1日、文書は証拠を捏造(ねつぞう)したもので、学誠住職と同寺の名誉毀損(きそん)を狙ったものだと非難した。
学誠住職は中国仏教界の著名人で、ソーシャルメディア上では数百万人のフォロワーを抱える。

龍泉寺は仏教と最新の科学技術の融合でたびたびメディアに取り上げられ、昨年には念仏を唱えたり助言を与えたりする身長約60センチの「ロボット僧侶」も導入していた。
2018年8月3日
【翻訳編集】AFPBB News   

ちなみに今回の事件に関するNHKニュースの中で、「中国では激しい競争社会や貧富の格差の問題などを背景に仏教に心のよりどころを求める人が増えており、仏教界のトップのセクハラ疑惑は波紋を広げています。」という見解が述べられているが、2006年2月11日付の朝日新聞に、「文革で打撃を受けた中国仏教だが、最近では経済的に豊かになった民衆の寄進を受けていくつもの仏教寺院が復興され、新たな心の支えとして再び仏教が隆盛を迎えつつあり、仏門に帰依する有名人も増えている(香港出身の芸能人やスターなども含む)」といった旨の記事が出ていた。

その記事から十年以上が経ったところでのこの事件、さて、しばらくは様子を見守りたいと思う。