おみくじあれこれ | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

「月刊住職」の2018年5月号に、「進化するオリジナルおみくじを活かす寺門興隆の実際」という特集が載っていた。

例えば長野の善光寺には15種類ものおみくじがあり、中でも2017年1月に導入された「ガチャガチャ」型のおみくじが人気だということや、京都の貴船神社のおみくじには、外国人旅行者の増加に合わせて多言語翻訳が可能なQRコードが付いているといった話など、各寺社の変わったおみくじのことが、色々と紹介されている。

この特集にも書かれているように、日本のおみくじの元祖は元三大師だとされており、今も比叡山の横川には元三大師御籤が伝わっているが、それを見ても明らかなように、少なくとも現在の日本で見かける形式のおみくじは、明らかに中国起源のものだ。

一般の旅行者の方でも、中国、香港、台湾などを旅して、仏教寺院や道教寺院で中国式のおみくじを引いた方も多いだろうし、神戸や大阪や横浜の関帝廟でも、おみくじはお馴染みのアイテムだ。

タイのお寺でもおみくじを置いている所があるが、これはテーラワーダ仏教に、中国文化の影響が混淆したものだ。

台湾には道教や民間信仰の要素の濃い「寺廟」と呼ばれる形式のお寺も多いが、純粋な修行道場や僧院的な仏教寺院にもおみくじが置いてあることは珍しくない。

さて、以前、台湾人の方に勧められておみくじを引いてみたところ、私の籤が「下下」、すなわち下の下だったのだが、お寺のおみくじの意味は仏縁を確かめるための方便だと私自身は思っているにも関わらず、周りの台湾人たちの顔の曇ること曇ること、みんなで慰めてくれるやら、困惑するやらで、却ってこちらの方が困ってしまったものだ。

それはさて置き、この「月刊住職」の取材は「ニッポンのおみくじ」(鏑木麻矢著)という本を参考にしたとのことだが、しかし、さすがは業界誌だけあって、お寺でおみくじを設置したり、オリジナルおみくじを作るには何に留意すれば良いかといった考察も展開しておられるところなどが、とても面白い。