お寺のトイレの注意書き | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

よくお手伝いに行くお寺で、境内にあるお手洗いで喫煙する参拝者が多いとかで、何か良い注意書きはないかと、相談を受けた。

「境内全域が仏さまの道場です。禁煙にご協力ください」みたいな文章を考えて提案し、厠所を司る烏枢沙摩(うすさま)明王のご真言なども添えた掲示を作ってもらったのだが、さて、それからと言うもの、お寺でないよその施設の公衆トイレなどの注意書きが気になって、観察するようになった。

最近、よく見かけるのが、トイレをきれいに使って頂いて有難うございます式の掲示。まだきれいに使ったかどうかは分からない時点で礼を述べている訳で、腰が低そうに見えて、実は強引に促している、上手い表現に思う。

下町の、余り衛生的とは思えないお手洗いを借りた時の標示に、これ以上汚すと使えなくなります、というものがあった。これはこれで、きちんとルールを守らねば、という気にさせてくれる表現で、なかなか面白い。

ちなみに冒頭のお寺でその注意書きを貼ってからというもの、随分長い間、トイレ内に煙がこもっているという事態はなかったのだが、先日、とうとう、どうやら誰かが喫煙したらしき形跡があったのを、私自身が見つけた。

ああ、困ったものだ、この掲示を見ながら喫煙するなんて、一体、次はどんな表現にすれば効果があるのか、などと一瞬思ったが、待てよ、境内が道場だなどと言いながら、この自分の心の動きは煩悩じゃないのかな? 例えば、煙草を吸いながらトイレに入って来た人が、この掲示を見て慌ててタバコの火を消したその煙がこもっているのかも知れないではないか、などと考えて、やはりこのままの文章で十分だと、思い直した次第です。

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                        おしまい。

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