読経の威力 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

例えば身内に不幸があったりすると、急なこととて、心が騒ぎ、身体も昂ぶる。

そんな時、声に出してお経を読む「お勤め」という行為が出来ることは幸いだ。

読経は利他行として死者の回向になるだけでなく、自身の心を調える、自利の行でもあると思う瞬間だ。

インドのブッダガヤにある印度山日本寺の勤行儀は、各宗派がなるべく共通して使うお経を集成し、パーリ語の三帰依文(ブッダン サラナン ガッチャーミ…)を加えたものだったが、日本寺駐在時、もう少しこの勤行儀を改変できないかと掛け合って、役員の先生方と議論したが、かなわなかった思い出がある。今思えばのどかな時代で、先生方も大らかに、よくお付き合い頂いたことと思う。

さて、自分自身のタイ寺院での安居修行の体験や、その後、訪れた台湾や韓国のお寺で頂いた経本の内容などを参考に、今、自分ひとりでお勤めする時の基本勤行儀を、以下のように定めている。


・アラハン サンマー サンプットー パカワー プッタン パカワンタン アピワテーミ (礼拝)

・サワーガットー パカワター タンモー タンマン ナマサーミ (礼拝)

・スパティパンノー パカワトー サーワカ サンコー サンカン ナマーミ (礼拝・それぞれ仏・法・僧の三宝への帰依文)


・ナモ タッサ パカワトー アラハト サンマーサンプッタサ (3反・ブッダへの帰依文)


・プッタン サラナン カッチャーミ 
 タンマン サラナン カッチャーミ
 サンカン サラナン カッチャーミ 
(帰依三宝文。再び=トゥティヤンピ プッタン…、三度び=タティヤンピ プッタン…と三回繰り返し唱える。
以上、パーリ語は全てタイ語読み)


我昔諸造諸悪業       
皆由無始貪瞋痴       
従身口意之所生
一切我今皆懺悔

願従今身盡未来際   
帰依佛両足尊 帰依法離欲尊 帰依僧衆中尊 
帰依佛竟 帰依法竟 帰依僧竟       


無上甚深微妙法       
百千万劫難遭遇       
我今見聞得受持       
願解如来真実義 


摩訶般若波羅蜜多心経…     
羯諦羯諦波羅羯諦      
波羅僧羯諦菩提薩婆訶 (時間がない時は、他の小経) 


願以此功徳 普及於一切   
我等與衆生 皆共成仏道

あと、お経の前後に心中で、もしくは微音で、諸行無常偈を、漢文とパーリ語で唱える。

諸行無常 是生滅法 生滅滅已 寂滅為楽
如来証涅槃 永断於生死 若有至心聴 当得無量楽

anicca vata sankhara
upadavayadhammino
uppajjitva nirujihanti
tesam vupasamo sukoho


日本人上座部僧のプラユキ・ナラテボー師が、パーリ語のお経であっても、日本のお経であっても、読経しながら心がどこかへ走りそうになる時は、繰り返し「お経に戻る」ことによって、気づきを失わないようにするといいですよと、教えて下さったことがある。

お経を上げることができるのは、幸いだ。



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