昔はどこの図書館にも角川書店の日本の伝説シリーズが置いてあったものだが、その中の「伊勢・志摩の伝説」という巻に、倭姫命(やまとひめのみこと)の財宝伝説が何種類も出て来た覚えがある。
ちょっと手元に資料がなくてそれぞれの伝説地の詳細が確認できないのだが、昔、そうした伝説を地図に当てはめて自分で作った資料も、どこかにあると思うのだが、今、探せない。
⇒資料が出て来たのだが、どうも記憶違いで、倭姫命と関係のない財宝伝説ばかりで、また出典も「伊勢・志摩の伝説」だったかどうか定かではない。
ちなみに以下のような土地の伝説だった。
・伊勢市村松町
・伊勢道路 天岩戸
・宮川村 三ヶ所
・大宮町
・南島町 (2017年1月24日追記)
倭姫命というのは、第11代垂仁天皇の皇女だから、まだ神話時代からさほど時代が下らない、大昔の伝説的人物だ。当初は宮中に祀られていた天照大神を、畏れ多いということで、どこか他の場所へお遷しすることになった、その斎き祀りを仰せつかったのが倭姫命で、彼女は神意に適う場所を見つけるために、長い旅に出る。
やがて伊勢の神宮に落ち着くまでのその道中に、倭姫命が何らかの財宝を埋めたという伝説がいくつもある訳なのだが(追記:上に記したように私の勘違いで、多分、財宝伝説の地図上のバラつきを倭姫命の道中と重ね合わせようと、当時の私がしていただけらしい)、ついでに言うと、その詳細が「倭姫命世紀」という中世の神道書に記されており、その道筋を地図上で結ぶと結界ができる、明治以前の遷都は、必ずその結界内で行われたのだという俗説が、神道霊学者の間でまことしやかに囁かれたこともある。
さらに余談ながら、その道中と、やはり中世に盛んになった西国三十三カ所の観音巡礼札所の配置がほぼ一致する、というのは、倭姫命の財宝伝説を調べていた頃の私が気づいたことなのだが、何分、私がお坊さんになる前の若かりし頃のことなので、今となっては皆、お伽話の域を出ないと痛感する。
さて、お伽話と言えばアジアで最も有名な財宝伝説の一つが「山下財宝」で、太平洋戦争末期、フィリピンを占領していた日本陸軍の山下奉文大将が、シンガポールや香港から集めた金塊や宝石を、降伏前にフィリピンに埋めたとされる伝説だ。
私の手元にある新聞の切り抜きにも、これを発掘しようとする米国人グループの話、現地ゲリラに拉致されたと思われた日本人が、実は山下財宝を掘っていたというニュース、山下財宝の一部だと騙されて、金メッキの仏像を高額で買わされたマニラの日本人ビジネスマンの記事など、楽しい話がたくさん残っている。
また切り抜きによれば、山下財宝以外にも、マレーシアのサバ州(ボルネオ島のマレーシア側)やパブアニューギニアのニューアイルランド島などでも、旧日本軍の財宝騒ぎがあって、その都度、日本の新聞記事になっている。
大のおとながそんなお伽話や与太話に血眼になるなんてと、心配される向きもあるかも知れないが、大丈夫、なぜなら学生時代に私が倭姫命の財宝伝説を調べだした途端、それまで私の宗教研究や神話伝説研究に興味を示して協力してくれていた友人たちが、にわかに胡散臭さを感じて非協力的になったことがある経験からも、世の中にはお伽噺に現を抜かす人よりも、真っ当な堅気の人間の方が、たくさんいるに違いない。
おしまい。
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タイ プッタタート比丘 「仏教人生読本」「観息正念」改訂CDーR版 頒布のお知らせをご参照下さい。
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