そもそもギミックって、どういう意味ですか? と人に聞かれたので、ああ、この頃、この言葉を一般的によく耳にするから、こういう質問をされるんだなと思った。奇術のタネやからくり、仕掛けといった意味のこの言葉、以前には聞いたことがない人の方が多かったろうと思う。
私は子供の頃からギミックという言葉を知っていた。それは私が小さい頃に奇術師になりたいと思っていたために、手品の本ばかり読んでいたからで、その中でも松田道弘氏の「シルク奇術入門」は、当時、読んでいた他の子供向け入門書や大人向け実用書の奇術本と違って、とても本格的な内容だった。
専門用語に関しても詳しい説明があり、「ギミック」はタネや仕掛け、厳密に言えば観客がその存在を知ってはいけない秘密の仕掛けを指し、「フェイク」は一見、普通の品物のように観客からは見えるが、その実、仕掛けを施してある小道具のことを指すと書いてあった。
この「ギミック」という言葉が、「消費者の興味を引くための仕掛け」みたいな意味で日本では使われていたりするが、単純に小道具を表す「ガジェット」という言葉と、混同されている節もあるように思う。
「ギミック」は、英語の辞書では「手品の種」という意味が真っ先に出ているので、元々、そんなに難しい言葉でもなかったのだろう。
ちなみに同じような話で、「ダミー」という言葉は「フェイク」よりも日本語の会話の中でよく耳にする気がするが、「ダミー」はどちらかと言えば、本来は人間に関する「替え玉」みたいな感じで、辞書では「マネキン人形」みたいな意味が最初に出て来る。
だから、「あの防犯カメラはダミーだ」と言うよりも、「あの防犯カメラはフェイクだ」と言う方が、私は個人的に正しい気もするのだが、これは英語ネイティブの人に聞いてみないと、本当のニュアンスは分からないので、ちょっと保留。
さて、それはさて置き、「ギミック」について考えてみたこの機会に、「シルク奇術入門」を読み直してみたのだが、本のカバーがクタクタになるまで読んだ形跡があり、小学生の私の字でたくさん書き込みがしてあって、どのページ、どのページの一行一行の文章も懐かしく覚えている程だったから、余程むさぼるように読んだものらしい。
「ギミック」について聞かれたお陰で、自身の精神形成の一端を垣間見ることができて、この読書はとても楽しかった。
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