一宿の上人 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

今昔物語集巻13の24に出て来る「一宿の上人」は同じ所に二泊することはない上に、庵を結ぶということすらもなく、所有物も法華経一部以外は一切持たないという徹底ぶりだったが、その描写が「三衣一鉢をそら具へず」、つまり、三衣一鉢すら持たない、というのがすごい。

本来、私有物を持たない決まりであった比丘=お坊さんにとって、僅かに許された最低限の荷物が三衣一鉢、すなわち三種の法衣と托鉢用の鉢なのだから、それを持たないというのは、戒律的にどうかという問題はさて置き、余程の覚悟がなければ出来ないことだ。

お坊さんになったが寺がないし、寺が欲しいという方もあれば、寺は要らないけれど、庵なら欲しい、或いはもう既に庵があるけれど、その庵がとても素敵でという執着が生じる場合もある訳で、だから一宿の上人のように、庵も結ばず、一箇所に二泊せず(それももちろん野宿だろう)、三衣一鉢すら持たないという、無一物と一所不住を貫くその姿勢は、実に見習うべきだと思う。



               
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