このブログを読んで下さっている方の中に、お坊さんを英語で何と言うかというインターネットの検索から入られる方が少なくないそうなのだが、誠に有難いこととは言うものの、一体どういう方がその検索を掛けておられるのだろうかと思うと、とても不思議だ。
仏教について英語で論文を書いている学生さん? 或いはこれから海外に旅立ち、少々、現地の方と会話せねばならない予定のお坊さん? どちらにしても希少な存在に思えるのだけれど。
「得度」について確かめたいことがあって、インターネットで検索したら、勝手に「得度」を英語で何と言うかという検索候補が出た。もしかしたらと思って、「お坊さん」とか「勤行」なども調べてみたら、「お坊さん 英語」「勤行英語」などという候補がちゃんと出て来て、時折りその中に拙ブログの記事が紛れ込んでいるので、うっかりクリックしてしまう方もおられるのではないかいなと思う。
さて、その「得度」だが、「得度 英語」の検索上位に上がるサイトでは、「enter the Buddhisit priesthood」(僧職に就く)くらいの文が基本で、その他、それこそ英語で日本の歴史に関する論文を書くのに役立ちそうな、割りと具体的で細かい例文がいくつか挙がっている。
それなのに、私が実際に海外の寺院でよく見聞する「ordination」という単語が出ていない。仏教英語にはよくあることだが、この言葉はキリスト教用語からの援用で、本来は聖職授任式みたいな意味だが、例えば私の手元にある「A GUIDE TO BUDDHIST MONASTERIES AND MEDITATION CENNTERES IN THAILAND」(タイの修行寺院と瞑想センター案内)という本にも、「ORDINATION AS A MONK」(タイで出家する=僧侶としての得度)という一章がある。
仏教に関する英語、海外布教する仏教僧侶の方たちが実際に使う仏教英語、主に西洋人が仏教を紹介する時に使用するお決まりの用語などを網羅できたら面白いだろうなあと常々思いながら、それほどの経験も知識もない私の手には余るので、なかなか果たせていない。
ホームページ「アジアのお坊さん」の「仏教語学」のページに簡単な仏教語の対照表を掲げてみたが、今見ると不足だけではなく、不備もいっぱいだ。
例えば「勤行」に対して「chanting」と「service」を本文中に挙げておきながら、表の中には「chanting」しか載せていない。そしてどちらの言葉も「morning chanting」(朝勤行、朝課)、「evening service」(夕勤行、晩課)のように、お寺のお勤めに対する英語として使えるが、「chanting」の方は「読経」の英訳としても使えるようなニュアンスなのに、そこまでは掘り下げていない。
それ以降に思いついたことを補足する意味で、時々、仏教英語に対する小ネタをブログに書かせて頂くこともあるのだが、そうしたブログの中でも、「法話」「説法」「説教」に関する言葉について、キリスト教援用用語の「sermon」と、海外の仏教シーンで実際によく耳にする「Dhamma talk」は挙げておきながら、説教するという意味の動詞「preach」を挙げていない。
そんなこんなで、不備不足不満だらけ、いつか単語を網羅は無理でも、もう少し収集の上、全体を整理して一覧にしてみたいのだが、まだまだ道は遠い。
そして、本当は「出家」と「得度」の違いや、「日本霊異記」における私度僧について書きたかったのだが、それはまた、いつかその内の宿題にさせて頂きます。
そう言えば「出家」を英語で何と言うかというのも、「出家」と「得度」の意味の違いを際立たせる興味深いテーマではあるが、ああ、それもまた今度時間のある時に、是非ゆっくりと。

おしまい。
※ちなみに「日英佛教辞典」(大東出版社)で「得度」を引くと、「Entrance into Buddhist priesthood. ordination.」と、両方の言葉が載っています。
「仏教語学」も是非ご覧ください!!
などもご覧くださいませ!!
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