台湾尼僧 智道法師のご遷化 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

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台湾の苗栗県にある浄覚院の住職である尼僧の智道法師が2016年4月18日に亡くなられた。旧知の台湾人である彭雙松(ほうそうしょう)先生という方の紹介で智道法師に拝謁させて頂いてから、もう10年になる。18日に訃報の知らせを頂いて、今日、4月30日が火葬式だそうだ。
 
師の示寂については台湾の最大宗派の一つ、佛光山のホームページにも掲載されている。その中でも紹介されている通り、智道法師は1927年のお生まれで、幼い時に苗栗県にある、名刹・獅頭山の塔頭・萬佛庵で出家され、1960年に浄覚院を建立された。
 
私が訪ねた時には、日本統治時代に習い覚えた、きれいな日本語でお話して下さるのだが、ニコニコといつも福々しい笑顔でいらっしゃいながら、仏法を語るそのお言葉はとても鋭く、普段は厳しい方なんですよ、日本からあなたがいつも訪ねて来てくれるのが、嬉しくていらっしゃるのでしょうと、彭先生は仰るのだけれど、もちろん台湾の人々も、その人柄に魅せられて、師を慕っていた人が多くあるからこそ、18日のご遷化でありながら、今日、30日の火葬式という、一人でも多くの人たちがお別れできるようにと配慮した日程になったのだろうと思う。
 
最後にお会いした時に、彭先生が、この庵主さんは日本語が達者だから、日本人のあなたたちはこの方の前で嘘はつけませんねと冗談を仰ったのだが、智道法師は、ふと真顔になって、嘘をついてはいけません、つく必要がありません、正直な言葉こそが大事ですと仰った。ああ、仰るとおりです、嘘でない、本当の言葉だけを、我ら仏教徒は話さなければなりませんと、慌てて私は答えたものだ。
 
そしてまた、すぐに優しい笑顔で直射日光が私たちに当たらぬようにも気遣って下さった、降り注ぐ南国の陽光の中のその笑顔を今も懐かしく思い出すのだが、本当に僅かな期間とはいうものの、稀有な高僧とのご法縁を頂けたことを、心から有難く感謝致します。
 
                           合掌
 
 
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