ブッダの衣鉢袋 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

「これは無上の方です。人間のうちで最上の人です」
 ーブッダのことば(岩波文庫・中村元訳)151頁

ブッダが生まれた時にアシタ仙人が述べた上記の言葉が、「大唐西域記」などに見える「天上天下唯我独尊」という言葉の大元ではないかと思うのだが、それはさて置き、もうすぐ仏誕会なので、今日はブッダにちなんだ話を。

仏誕会が近いのに、ちょっと時期外れの話題なのだけれど、先日、涅槃会の時分に東福寺の涅槃図をお参りした方から、涅槃図に描かれている、沙羅双樹に掛かっている薬袋についてのご質問を受けた。

涅槃図には色々決まりがあって、描かれている事物が概ね決まっており、その絵解きもインターネットにたくさん出ているが、最近、禅宗のお坊さんに、曹洞宗が出しておられる涅槃図の解説パンフレットなるものも見せて頂いた。

涅槃図の木に掛かっている袋については、摩耶夫人が天上から投じた薬袋、投薬袋という解説もあるが、どうも本来はブッダ釈尊ご自身の衣鉢袋であるらしい。

衣鉢というのはお坊さんの法衣と托鉢用の鉢のことだが、「衣鉢」という言葉で端的に「お坊さんの持ち物」を指すこともある。涅槃図の衣鉢袋の傍らに錫杖が描かれていることが多いのも、ブッダが故郷への旅の途中で亡くなったからなのだろう。

一般の方に関しての「住所不定」という言葉は胡散臭さも含む訳だけれど、お坊さんの場合は「一所不住」と言って、定められた期間以外は旅に出るのがブッダ時代以来の習わしだったから、一所不住を理想としたい私にとっては、涅槃図に描かれた袋が薬袋でなく衣鉢袋であった方が、断然、嬉しいのだけれど。


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※画像はタイのワット・サケット寺院発行の仏教書「サマ-ディー」(瞑想)の挿し絵に描かれた行脚僧(プラ・トゥドン)です。