アガサ・クリスティの「アクロイド殺し」(ハヤカワ文庫)を久々に読み返してみたら、冒頭の文章が、「フェラーズ夫人が亡くなったのは、9月16日から17日にかけての夜、木曜日だった」とあって、偶然、今読んでいるこの時期と同じ日付だったので、面白く思った。
大人になって、「物語の迷宮」(創元ライブラリ)や「探偵小説と叙述トリック」(笠井潔著・東京創元社)といった、「アクロイド殺し」の内容に触れたミステリ評論をいくつも読んでいるので、「アクロイド」については最近もよく読んでいるかのように錯覚していたが、私はこの超が付くほどの有名作を、中学生の時の初読後、一度も読み返していないことに、今回、気が付いた。
きっと、この作品が余りにも有名すぎて、読む前から結末を知っていたために、一度読めば十分だと思ったからだと思う。張り巡らされた伏線を味わい直したり、プロットの妙味を楽しんだりという考えは、子どもだった私にはまだなかった訳だが、今回、読んでみて、考え抜かれたこの小説、やっぱり傑作だと改めて思った。
そして、先日、やっぱり昔に結末を知った上で読んで、それきりになっていたクリスティの「そして誰もいなくなった」を読み返した時にも思ったことだが、クリスティの小説は本当に上手いと思う。
人物描写や会話が面白いから、読み物としては初心者でも読みやすく、けれどなおかつ本格ミステリとしても非常に優れているクリスティ作品は、お叱りを受けるのを承知で言えば、海外の長編ミステリ作家で言えば、カーやクイーンなどよりも、現在の私にはずっとポイントが高い作家だ。
本当にあっという間に読めて、でも本当に面白かった、読んで良かったと思えるのが、クリスティの作品だと思う。
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