痛ましい事件が起こった。まだ詳細は不明なので見解は控え、バンコクの「エラワンの祠」についてだけ、改めてまとめることにする。
旧のエラワン・ホテル、現グランド・ハイアット・エラワン・バンコクの一角にブラフマー神(梵天)を祀った祠があって、タイ人のみならず、外国人もたくさん参拝している。
1990年発行の「バンコクの好奇心」(前川健一著・めこん)には、「エラワン梵天堂」という1章があり、25年前に書かれた文章でありながら、今でも大変に役に立つ。但し、日本人を余り見かけないと書かれているその当時と違い、2015年現在は、日本人観光客も多く訪れるようになった。
ちなみに、1991年に発行された「タイ仏教入門」(めこん)の後書きにも、この祠のことがわざわざ取り上げてある。
1997年発行の「タイ現代情報事典」(ゑゐ文社)は、タイに関する大変詳しい小事典なのだが、「ブラーマ神」という項目に、「このエラワン・ホテルの祠に祀られているブラーマ神とは日本語の弁財天のことだ」と書いてあるのは間違いで、ブラーマ神とは梵天のことだ。
さて、2000年代に入ってアジア旅行事情が変わり、この祠に詣でる日本人が多くなった。ただ、wikipediaにもある通り、日本語の本やサイトに、この祠のことを「エラワン・プーム」と書いてあるのは間違い。
⇒ちなみに、「地球の歩き方」が、この祠のことを「エラワン・プーム」と表現しているが、それはおかしいということを、2011年に書かせて頂いたが、今回、改めて「歩き方」の「タイ」「バンコク」両方をチェックしてみたところ、現在の版からは「エラワン・プーム」という表現は消えて、「ターオ・マハー・プラマ」となっていた(2015年8月22日追記)。
強いて言えば、「エラワン・ホテルのサーン・プラ・プーム」なら、まだしも妥当だ。「プラ・プーム」は「土地神」、「サーン・プラ・プーム」で、「土地神の祠」という意味になるのだが、「エラワン・プーム」では意味が通じない。
プラ・プームというのはピー(精霊)や土地神を祀る祠のことだが、梵天のことはタイ語でプラ・プロムと言い、両方のカタカナ表記が似ているために、日本人の混乱を誘うようだが、「エラワンのプラ・プロム」という言い方ならば正確だ。
従って、「エラワン梵天堂」「エラワンの祠」「エラワン廟」といった日本語表記や、英語の「Erawan shrine」という表記は間違いではないが、「エラワン寺院」という言い方は厳密には正しいとは言えない。ここは寺院ではないからだ。
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被害に遭われた方にお見舞い申し上げると共に、事態の速やかなる解明と今後の安寧を、心よりお祈り致します。
合掌
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