猿あれこれ | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

昨年から、少しずつ読み直している南方熊楠の「十二支考」、他の本と並行して読んでいたら全然、進まず、ようやく猿の章まで来たら、これが大変、面白い。

もともと猿の生態というものに興味があった。進化論が現れる以前から、これが人間に近い生き物であることは誰にとっても一目瞭然で、中でも様々な狒々の種類などは、森で出会ったら摩訶不思議な仙人か変化の物にしか見えないだろうと思う。

猿のモチーフが、なぜ人の心をくすぐるのか、近頃、日本の町で、カフェやらその他のお店で、店名に「猿」を冠して、あまつさえ猿の絵をあしらったロゴが使われていたりすることが多いように思う。

ちょっと古いが、90年代に「12モンキーズ」という映画があって、これも猿の意匠が効果的に使われていたし、これまたもっと古い「猿の惑星」シリーズが、現在でもリメイクされたり、新シリーズになったりしているように、猿は今でもとても人気だ。

インドのヴァラナシのドゥルガー寺院やタイのロッブリー、関西の箕面山のように、猿だらけで有名な場所はたくさんあるが、日吉大社の眷属が猿であることは周知の通りで、今も坂本や比叡山で、ちょこちょこと歩くお猿さんを見かけることがある。

見ざる言わざる聞かざるの三猿や、京都御所の鬼門の猿に関連した左甚五郎が彫った幸神社の猿のように、魅力ある民俗も多いが、「十二支考」には「猿が島」の伝承についても考察してあって、仏典に見える四大洲、当時のインド人が考えた4つの大陸の他に、猿洲を始め、いろんな島があると書いてあるそうで、人跡未踏の地が多かった時代には、猿だらけの地が多かった証しだろうと、熊楠翁は言うのだが、猿の多かったとされた大陸が、実際のどこの国に当たるのかを、想像するのも楽しい。


※「アジアの三猿」もご覧下さい!



ホームページ「アジアのお坊さん」本編も是非ご覧ください!!

※お知らせ※
タイの高僧プッタタート比丘の著作の
三橋ヴィプラティッサ比丘による日本語訳CD、
アーナパーナサティ瞑想の解説書「観息正念」、
並びに仏教の要諦の解説書「仏教人生読本」を入手ご希望の方は
タイ プッタタート比丘 「仏教人生読本」「観息正念」改訂CDーR版 頒布のお知らせをご参照下さい。